- 予算区分
- 2-2005
- 研究課題コード
- 2022BA010
- 開始/終了年度
- 2020~2022年
- キーワード(日本語)
- 惑星限界,環境収容力
- キーワード(英語)
- Planetary boundaries,Carrying capacity
研究概要
気候安定化や持続可能な開発に向けた目標が、それぞれパリ協定、持続可能な開発のための2030アジェンダとしてどちらも2015年に国際合意された。これに対して、我が国では、気候変動適応計画および地域気候変動適応計画が策定され、今後見込まれる気候変動影響に対応するための気候変動適応策が推進されている。また、2020年12月には菅内閣により2050年カーボンニュートラルが2020年12月に宣言され、より野心的な緩和策の具体的な対策が進められることとなった。このような気候安定化に向けた緩和策と適応策の実施には、持続可能な開発目標(SDGs)達成に向けた取り組みとの間には大きなシナジーが期待されているが、トレードオフも懸念されている。しかしながら、これに関する最初の包括的な分析は2018年に発行されたIPCC1.5度特別報告書の第5章で実施されたが、概念的な検討にとどまっていた。また、2019年に発行されたIPCC土地関係特別報告書では強力な緩和策としてバイオ燃料の大量生産について同種の検討がされたが、やはり定性的かつマクロな検討に留まっていた。したがって、定量的かつ地域詳細なシナジーとトレードオフの検討が必要である。そこで、水災害、水熱質循環、水資源、食糧生産に着目し、世界的にも高い評価を得る全球水環境モデル群を活用することで、実施の際の水の量的・質的制約や洪水・旱魃などの災害発生の可能性を考慮しつつ、気候目標とSDGsのシナジーとトレードオフを定量的かつ地域詳細に整理し、同時達成の可能性を評価することを目的とする。また、同時達成が難しい課題や地域を特定・抽出し、解決策の検討を行う。
研究の性格
- 主たるもの:応用科学研究
- 従たるもの:基礎科学研究
全体計画
1)全球水資源モデルH08を用いることにより、低炭素シナリオとSDGs目標のうち、水力発電とバイオ燃料生産に着目したクリーンなエネルギー(SDG7)、および安全な水へのアクセスについて(SDG6)の水資源面でのシナジーやトレードオフを詳細に検討する。
2)2度(1.5度)目標の達成にあたり、世界全体の水力発電の大幅な増加や、バイオ燃料の増産が前提になっている研究が散見される。前者に関しては、非現実的な水力発電の開発が前提となっていないかという軸から検討を行う。後者については、バイオ燃料増産により水循環の変化や灌漑需要の増加につながることがないかという軸などから詳細な検討を行う。
3)SDGsが高度に達成できたとしても世界の水需要は急には減らせない。特定の地域や期間に表流水や地下水の過剰取水をもたらす水利用に主に注目し、水資源制約に関する指標や地図を提示する。
今年度の研究概要
令和4年度は前年度に開発した収量モデルを利用して、水資源と食料生産の連関に着目し、緩和策・適応策のシナジーとトレードオフを分析する。
外部との連携
芝浦工業大学、東京大学、農研機構
- 関連する研究課題
- 26436 : PJ2_気候変動影響評価手法の高度化に関する研究
- 26451 : 気候変動適応分野(ア先見的・先端的な基礎研究)
- : 気候変動適応分野(ウ知的研究基盤整備)
課題代表者
花崎 直太
- 気候変動適応センター
気候変動影響評価研究室 - 室長(研究)
- 博士(工学)
- 土木工学
担当者
-
AI Zhipin