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気候変動適応分野(令和 4年度)
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研究課題コード
2125FP139
開始/終了年度
2021~2025年

研究概要

諸分野における過去から現在に至る観測値の変化等に基づく気候変動の影響の検出、気候変動の寄与度の推定、気候変動影響予測手法の開発・高度化、気候・社会経済シナリオに基づく影響予測の実施、適応策の戦略的推進のための施策の提案等、気候変動の適応推進に係る業務を科学的に支援するための調査研究を行う。そのために、先見的・先端的基礎研究ならびに、モニタリングを含む知的研究基盤整備を行う。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:モニタリング・研究基盤整備

全体計画

先見的・先端的な基礎研究として、多様な適応分野における過去から現在において既に生じているリスク及び将来生じる可能性のあるリスクを定量的に把握するため、影響観測手法の開発及び実地調査、将来リスク評価モデル開発を行うとともに、適応策評価・現状把握を行う。気候変動の影響・適応の範囲は自然生態系分野や水・大気分野、暑熱・健康分野、国民生活分野に加え自然災害や農林水産業分野など広範囲であり、また分野を超えた複合的影響と適応の関係等の観点も含め、将来の包括的な適応の在り方について3 年を目途として国内の研究機関との連携の形を模索しつつ体系化を進める。さらに、最終年度に向けて科学的な基礎情報が不十分な分野や地域を検討し、そのリスクの把握及び将来影響・適応の評価のための知見の蓄積に努めつつ、予見的観点から社会変動や気候変動における影響を予測する技術、多様なリスクに対応する持続可能性と強靱性を併せ持つ社会やライフスタイルのあり方、統合的な適応策の実践やリスク管理に関する理論的研究を進める。特に自然や生態系を利用した各種適応策についての検討を進め、3 年後を目途に生物多様性の保全も含めたその適応策としての有効性や限界を研究することにより、現実的な選択肢としての可能性や他の適応策と組み合わせた効果的活用法などを検討する。また不確実性のある将来シナリオから後悔の少ない施策を各種計画・推進する場合において、単独の適応策を評価するばかりでなく、他分野の施策間のコンフリクトを解消することや相乗効果の創出及び緩和策との良いマッチング等の評価法を検討し、5 年目には分野間の複合的な影響やその連鎖を視野に入れた適応策及びリスク管理手法評価について体系化を試みる。同時に、地域の地理的特性や文化的特性の違いも加味しつつ日本国内で蓄積されてきた影響評価・適応策の知見を利用し、アジア太平洋地域に対しても適応策の立案・具体化に資する科学的知見の集約や解析研究を行う。
 知的研究基盤整備として、国・地方・事業者等による適応の促進を図るため、基盤的な観点から国内外の研究機関との連携・地域センター等との共同研究活動(熱中症や自然環境等に関わる地域研究や適応に関する科学的情報提供に係るプラットフォーム形成等)を進め、地域の適応策の推進及び人材育成に貢献する。また、(1)の気候変動適応研究プログラムにおける気候変動影響のメカニズム解明と将来予測研究と連携した各種影響検出のための長期的モニタリングや体系的データ収集事業の立ち上げ・運営に加え、広くステークホルダーと連携したネットワーク化を検討し、科学的情報の継続取得に努める。具体的には、国環研が独自に調査するデータ、地域適応センター等の機関の調査や市民参加型調査によるデータさらには文献や統計データとして公表されているデータを集積し、データのフォーマットを統一し発信する。またそれらの知見をもとに気候変動影響検出解析・予測モデルの構築のためのデータを必要に応じて機械学習等の手法等を活用して補完した上で、A-PLAT 及びAP-PLAT 等を通じて公開するとともに、気候変動適応研究プログラムや他の研究プロジェクト等への提供、調査協力者へのフィードバック等を行うことで、2025 年に実施予定の第3期気候変動影響評価を支援する。さらに複数の将来気候シナリオを体系的に取集し、それに対応する複数分野の将来気候変動影響予測結果等を統合的に作成しデータベース化を図る。その上で、気候変動影響予測等を公開するための課題を整理し、これらのデータベースの公開や利活用しやすい環境の整備を進める。加えて、A-PLAT に実装された科学的知見や情報を活用して、地方公共団体の担当者が自ら地域気候変動適応計画を作成する際の一助となるツールを開発する。具体的には、地域の基礎的情報把握・適応策の優先度選定に必要な情報収集等を自動化するツールの開発により、地域気候変動適応計画の作成を支援する。また気候変動影響に連動した適応経路解析システムや適応データベースの開発を進める。具体的には、(1)で掲げた研究プログラム?で開発する簡易影響予測手法を活用し、幅広い分野の気候変動影響を横断的に評価するツールを開発するとともに、適応策を個別分野・項目別に整理しデータベースを作成する。これらは専門家でなくとも理解可能な形になるよう、インフォグラフィックの手法による視覚化やGIS データベース化による視覚化を図り、適応策実践の推進に貢献する。

今年度の研究概要

影響観測手法の開発及び実地調査、将来リスク評価モデル開発を行うとともに、適応策評価・現状把握を行う。分野を超えた複合的影響と適応の関係等の観点も含め、将来の包括的な適応の在り方について国内の研究機関との連携の形を模索しつつ体系化を進める。リスクの把握及び将来影響・適応の評価のための知見の蓄積に努める。予見的観点から社会変動や気候変動における影響を予測する技術、多様なリスクに対応する持続可能性と強靱性を併せ持つ社会やライフスタイルのあり方、統合的な適応策の実践やリスク管理に関する理論的研究を進める。
 また不確実性のある将来シナリオから後悔の少ない施策を各種計画・推進する場合において、単独の適応策を評価するばかりでなく、他分野の施策間のコンフリクトを解消することや相乗効果の創出及び緩和策との良いマッチング等の評価法を検討する。
 知的研究基盤整備として、国・地方・事業者等による適応の促進を図るため、基盤的な観点から国内外の研究機関との連携・地域センター等との共同研究活動(熱中症や自然環境等に関わる地域研究や適応に関する科学的情報提供に係るプラットフォーム形成等)を進め、地域の適応策の推進及び人材育成に貢献する。また、国環研が独自に調査するデータ、地域適応センター等の機関の調査や市民参加型調査によるデータさらには文献や統計データとして公表されているデータを集積し、データのフォーマットを統一し発信する。またそれらの知見をもとに気候変動影響検出解析・予測モデルの構築のためのデータを必要に応じて機械学習等の手法等を活用して補完した上で、A-PLAT 及びAP-PLAT 等を通じて公開する。

外部との連携

地域適応センター

課題代表者

向井 人史