- 研究課題コード
- 1921CD028
- 開始/終了年度
- 2019~2021年
- キーワード(日本語)
- 湧水,河川生態系,河川ネットワーク,地下水,避難場所
- キーワード(英語)
- Springs,River ecosystem,River network,Groundwater,Refugia
研究概要
地下水が湧き出てつくられる湧水河川は、水質・水温・流量などの点で非湧水河川とは異なった環境をもっている。本研究ではまず、湧水河川の特異な環境が希少種を含む独特な生物相をもたらすことを湧水・非湧水河川間の比較により明らかにする。次に、湧水河川の季節を通して安定した水温や流量に着目して、非湧水河川が高温・低温時、または洪水時に、湧水河川が水生生物の避難場所として機能するかどうかを解明する。以上により、独特な生物相を形成することや避難場所を提供することによって、湧水河川が河川生態系の生物多様性に果たす役割を示す。
研究の性格
- 主たるもの:基礎科学研究
- 従たるもの:応用科学研究
全体計画
(1)湧水河川の特異な生息環境と生物相の対応関係を明らかにする
北海道朱太川水系・岩手県磐井川水系を対象として河川ネットワーク内に湧水河川・非湧水河川を含む複数の調査区間を設ける。各調査区間において生息環境と生物相を季節ごとに把握する(年4回)。湧水・非湧水河川間で生息環境と生物相を比較することで湧水河川の生息環境の特異性と希少種を含む生物相との対応関係を統計的に示し、湧水河川に特有な生物相の成立要因を明らかにする。
(2)退避地としての湧水河川の水生動物の利用様式を明らかにする
通常、非湧水河川は季節的な水温変動や降水イベントに伴う流量変動によって攪乱がしばしば生じる生態系である。攪乱が頻発する河川生態系では、攪乱を回避するための様々な戦略を獲得してきた生物種が生息している。その戦略の1つとして、水温・流量ともに安定した湧水河川を退避地として活用する戦略が想定される。ここでは、そのような戦略が実際に存在し、湧水河川が退避地として機能しうるのかを湧水・非湧水河川を含む河川ネットワークスケールで明らかにする。
今年度の研究概要
湧水河川の洪水時の避難場所としての機能を明らかにする。
課題代表者
境 優
- 福島地域協働研究拠点
環境影響評価研究室 - 主任研究員
- 博士(地球環境学)
- 生物学