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東アジアにおける地表オゾン濃度増加の解明に向けたVOCの化学種別連続観測(令和 3年度)
Continuous chemical speciation of Asian VOC emissions for understanding the growth of surface ozone in East Asia

予算区分
日本学術振興会国際共同事業
研究課題コード
1821ZZ002
開始/終了年度
2018~2021年
キーワード(日本語)
揮発性有機化合物
キーワード(英語)
Volatile organic compound

研究概要

主要な大気汚染物質である対流圏オゾンは、健康や農作物の収穫量などに大きな影響を与えている。地表付近における対流圏オゾン濃度は世界の多くの地域で減少傾向にあるが、東アジアでは過去20年に渡って増加傾向にあり、その原因解明と対策が求められている。最近、中国の都市部において実施された大気観測から、オゾンの前駆体として働く揮発性有機化合物(VOC)の排出抑制がオゾン濃度の低減に効果的であることが指摘され、排出されるVOCの組成や風下地域への輸送中におけるVOCの変質過程の把握が現象解明のキーになると考えられている。しかし、複雑なVOCを成分別かつ連続的に測定する手法が確立されていないため、長期的な大気観測例が限られている。本研究では、含酸素成分を含む広範なVOCの連続測定手法を開発すると共に、本装置を用いた大気モニタリングを実施することで東アジア域におけるVOC排出実態を把握することを目的としている。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:モニタリング・研究基盤整備

全体計画

本研究は、大気汚染の原因となる揮発性有機化合物(VOC)のための高感度自動連続測定システムを開発すると共に、本装置を波照間モニタリングステーション(沖縄県波照間島)に設置して大気モニタリングを実施することで東アジア域におけるVOC排出実態を把握することを目的としている。

今年度の研究概要

今年度は国立環境研究所においてVOC測定システムの試運転を数週間程度行って安定性等を確認した後、本システムを沖縄県波照間島の波照間ステーションに移設し、大気観測を開始する。波照間ステーションでは観測タワーから吸引した大気を約1時間の頻度で連続的に分析する。得られた観測データを解析し、夏期に捉えられる清浄な空気塊と冬期に卓越する大陸由来の汚染空気塊におけるVOCの特徴を成分別に把握する。特に、中国の都市部でオゾンの前駆体として重要な芳香族炭化水素に着目し、それの挙動を明らかにする。また、WACLで開発が進められている全球大気化学輸送モデル(Geos-Chem)を用いて波照間における成分別VOCのフォワード計算を行い、観測結果との予備的な比較を行う。

外部との連携

ヨーク大学

課題代表者

斉藤 拓也

  • 地球システム領域
  • 主幹研究員
  • 博士(地球環境科学)
  • 化学
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