- 予算区分
- S?-1-3
- 研究課題コード
- 1821BA004
- 開始/終了年度
- 2018~2021年
- キーワード(日本語)
- 鉛汚染,免疫抑制,猛禽類
- キーワード(英語)
- lead contamination,immunosuppression,raptores
研究概要
鉛汚染に対して高感受性の希少鳥類分布域に関する情報と、鉛汚染源に関連する各種情報を統合し、猛禽類で鉛汚染による生体影響が発生するリスクが高い地域を地図上に可視化する。さらに、高病原性鳥インフルエンザの発生地点情報を統合し、鉛汚染が高病原性鳥インフルエンザ発生に影響を与えているのか評価・検討する。
研究の性格
- 主たるもの:行政支援調査・研究
- 従たるもの:モニタリング・研究基盤整備
全体計画
最初に、鉛汚染に対して高感受性の希少鳥類、特に猛禽類の国内分布図を作成する。その際には、自然環境保全基礎調査(環境省)の情報と各種環境情報(気温、降水量等)を生態ニッチモデリングによって統合し、分布する可能性もある地域も含めた、猛禽類の分布図を作成する。また、鉛汚染源に関連する各種情報(カモ類の糞便の鉛濃度、野生鳥獣の筋肉の鉛濃度、シカとイノシシの捕獲数等)を地理情報システム(GIS)によって可視化する。可視化した各種地理情報を統合し、本州以南における鉛汚染源の分布状況を把握する。最後に、猛禽類の分布図および鉛汚染源の分布図を統合し空間解析を行う。それによって、希少鳥類、特に猛禽類で鉛汚染により免疫抑制等の生体影響が発生するリスクが高い地域を明確にするとともに、高リスク地域を鉛製銃弾等の規制地域として提案する。また、鉛汚染の高リスク地域と猛禽類における鳥インフルエンザの発生地点との関連性を評価・検討する。
今年度の研究概要
環境省が取り纏めた最新の狩猟数データをもとに、本州でイノシシ、シカ、カモ類等の狩猟が猟銃によって集中的に行われている地域を明らかにする。また、生態ニッチモデリングで作成した、クマタカ、ハヤブサ、イヌワシ、オオタカの分布図と狩猟数の情報を統合し、これらの種で鉛銃弾を経由した鉛中毒の発生可能性が高い地域を特定する。また、高病原性鳥インフルエンザの発生地域と鉛汚染地域の関連性を評価し、高病原性鳥インフルエンザの発生に鉛汚染がリスク要因となりうるのか評価する。
外部との連携
北海道大学、株式会社猛禽類医学研究所
備考
当初の研究期間は2018年〜2020年であった。しかし、新型コロナの感染拡大を受けた緊急事態宣言発令のため、研究計画に遅延が生じたため、研究期間が1年延長された。
課題代表者
大沼 学
- 生物多様性領域
生物多様性資源保全研究推進室 - 室長(研究)
- 博士(獣医学)
- 獣医学,生物学