- 研究課題コード
- 1921AH006
- 開始/終了年度
- 2019~2021年
- キーワード(日本語)
- 黄砂,化学分析,大気汚染物質
- キーワード(英語)
- Asian dust,chemical analysis,air pollutants
研究概要
黄砂エアロゾルは大気中の他の大気汚染物質との相互作用により、形状が変化し、光学特性が変化する可能性があることが指摘されている。例えば、一般的には非球形の黄砂エアロゾルが、相互作用により液体に覆われ、液滴と同じ球形の光学特性を示すようになることが考えられている。年間発生量が800 (500-1000) Tgとも推定されている黄砂エアロゾルの光学特性は、放射収支(地球温暖化)に影響を与えかねない。そのため、黄砂エアロゾルの変質についての調査することは非常に重要である。
大阪府東大阪市の近畿大学に設置されているライダーはエアロゾルの鉛直分布や形状を連続測定できる装置である。また、黄砂エアロゾル飛来についても、昼夜を問わず検出可能な装置である。そのライダーの観測結果と黄砂エアロゾルの化学分析結果を組み合わせることにより、黄砂エアロゾルの変質について検討する。
研究の性格
- 主たるもの:応用科学研究
- 従たるもの:モニタリング・研究基盤整備
全体計画
黄砂エアロゾルの観測が昼夜を問わず連続的に行えるライダーの観測結果を用いた黄砂現象の抽出条件を検討する。検討にあたっては、大阪府東大阪市の近畿大学に設置されているライダーの観測結果を使用する。また、気象台による目視観測が縮小されていることも鑑み、これまでの気象台による観測結果と大差ができない抽出方法の開発を目指す。
ライダー観測結果から抽出された黄砂現象時のエアロゾルの化学成分分析結果や、ライダー観測結果等から、黄砂エアロゾルの変質の可能性について検討する。エアロゾルの採取は、これまでにも試料採取を行っており、過去のデータとの比較も可能な国設大阪局で行う。黄砂イベント時の化学組成から黄砂エアロゾルに他の大気汚染物質が付着している可能性を検討する。併せて、ライダーで得られる球形粒子及び非球形粒子濃度から黄砂粒子の球形化について検討する。
今年度の研究概要
2021年度は、これまでに利用してきた過去のフィルターサンプル以外に、自動成分分析装置の結果を利用した解析を行う。またSEM-EDXAを利用した黄砂エアロゾル検出についても検討を行う。まず環境標準物質(ゴビ黄砂)を利用して検出法を確立し、その後実大気資料へ適用する。この際黄砂のリファレンスとしてライダーデータを利用する。
外部との連携
地方独立行政法人大阪府立環境農林水産総合研究所環境研究部との共同研究である(担当者:森 育子)
- 関連する研究課題
課題代表者
清水 厚
- 地域環境保全領域
広域大気研究室 - 上級主幹研究員
- 博士(理学)
- 物理学,地学