- 研究課題コード
- 1921CD009
- 開始/終了年度
- 2019~2022年
- キーワード(日本語)
- 水銀同位体,大気中水銀
- キーワード(英語)
- Hg isotopes,atmospheric mercury
研究概要
これまで大気中水銀の動態を理解するために、モデル研究や室内実験、さらには環境の異なる様々な地点で観測が実施されてきたが、化学種の形態変化を生じる反応プロセスについて不明な点が多い。本課題では、大気中水銀の動態理解に向けた「天然の実験室」であるマウナ・ロア観測所でサンプリングを実施し、精密水銀同位体分析を行う。水銀は光化学反応によって特異的に同位体分別を生じる。これを指標として考察することで、大気中水銀の化学的挙動について新たな知見を得る。
研究の性格
- 主たるもの:基礎科学研究
- 従たるもの:モニタリング・研究基盤整備
全体計画
本研究では、大気中水銀の沈着プロセスを理解するために、MLOの化学形態別水銀の季節変動を観測するとともに、マルチコレクター誘導結合プラズマ質量分析計(MC-ICP-MS)を用いたGEM(gaseous elemental mercury、ガス状原子状水銀)の精密水銀同位体分析を実施する。
•MLOでのGEMの捕集:MLOは自由対流圏に位置することから局所的な大気変動の影響を受けにくく、水銀の大気化学反応についての天然の実験室である。本研究では、申請者が「大気中水銀同位体分析による発生源近傍および広域的な水銀拡散の実態把握」(科学研究費助成事業・若手研究B、補助事業期間:H28〜H30年度、課題番号:16K16187)で開発したGEMの自動捕集装置を用い、GOM(gaseous oxidized mercury、ガス状酸化態水銀)の上昇が見られる夏季(6〜8月中の約1ヶ月)に捕集を行う。また、その比較として、全球的なGEMのバックグラウンドの水銀同位体比を得るために、冬季(11〜1月中の約1ヶ月)にも捕集を行う。GEMの捕集は、基本的には2020年度に完了させるが、気候条件等の影響で観測が実施できない場合は、2021及び2022年度に持ち越す。
•GEMの精密水銀同位体分析:持ち帰ったGEMは国立環境研究所(以下、NIESと記載)にて前処理および水銀同位体分析を実施する。MLOで観測された大気組成等のデータとともに、GEM→GOMの光酸化反応に関わる主な酸化剤について考察する。
以下に、具体的な年次計画について述べる。
今年度の研究概要
•MLOでのGEM捕集
MLOにおいて、冬に各1〜2ヶ月GEMの捕集を実施する。
- 関連する研究課題
- 25584 : 基盤計測研究(ア先見的・先端的な基礎研究)
課題代表者
山川 茜
- 環境リスク・健康領域
環境標準研究室 - 主任研究員
- 理学博士
- 地学