- 研究課題コード
- 2124CD003
- 開始/終了年度
- 2021~2024年
- キーワード(日本語)
- 水生昆虫,重金属汚染,DNAバーコード,メタバーコーディング,環境DNA
- キーワード(英語)
- aquatic insects,heavy metal pollution,DNA barcode,metabarcoding,environmental DNA
研究概要
河川水生昆虫は多様な金属感受性を持つ種で構成され、金属の生態影響調査に国際的に広く利用されている。しかし、水生昆虫の野外採集や同定には多大な労力と高い専門性が必要である。環境DNA解析による水生昆虫相の調査が活用されつつあるが、調査・解析手法の確立には幾つかの課題が残されている。本研究では、参照DNAデータベースの拡充と高増幅率のユニバーサルプライマーの新規開発、従来の捕獲採集法と環境DNA解析による調査結果の比較により、日本産水生昆虫の環境DNAを用いた金属影響評価方法を構築し、野外モニタリングにおける有用性を明らかにする。
研究の性格
- 主たるもの:技術開発・評価
- 従たるもの:モニタリング・研究基盤整備
全体計画
本研究では、(1)水生昆虫(特に、金属感受性に特徴があるカゲロウ・カワゲラ・トビケラ目)のDNA参照データベースを大幅に拡充し、(2)ユニバーサルプライマーの開発・検証を行う。さらに、 (3)環境DNA解析と現地での採集の結果を比較してその定性・定量性を評価することで、水生昆虫の環境DNAによる金属影響評価方法を構築することを目的とする。具体的には、環境DNA解析の同定レベル(種・属 or 科)及び定量性の有無(在不在 or 生物量)の組合せから得られる異なる水生昆虫指標の金属影響検出力や、従来の採集方法から算出される種数・個体数指標との相関を評価し、金属汚染の影響評価やモニタリングにおける水生昆虫の環境DNA解析の実用化を目指す。
今年度の研究概要
環境DNA解析の参照データベースの拡充のため、水生昆虫標本を収集する。水生昆虫のうち、金属感受性の知見が豊富なカゲロウ目、カワゲラ目、トビケラ目を対象とする。収集した標本について、形態に基づき種・属レベルまでの同定を行う。標本収集は課題3の調査と水生昆虫の専門家の協力により行い、同定は水生昆虫の専門家の協力と外注によって進める。DNA抽出は、可能な限り非破壊で行い、形態標本として保管する。
外部との連携
産業技術総合研究所、東北大学
- 関連する研究課題
課題代表者
今藤 夏子
- 生物多様性領域
環境ゲノム研究推進室 - 室長(研究)
- 博士(学術)
- 生物学