- 研究課題コード
- 1921CD013
- 開始/終了年度
- 2019~2021年
- キーワード(日本語)
- 脳症,脳,神経毒
- キーワード(英語)
- encephalopathy,brain,neurotoxin
研究概要
申請者らは、スギヒラタケによる急性脳症の発症機構に関する以下の仮説を提唱している:「1スギヒラタケ中の高分子2成分が複合体を形成することによってプロテアーゼ活性が現れ、そのプロテアーゼの作用によって血液脳関門が破壊される。さらに2その不安定性ゆえに単離はできなかったが、合成化学的にその存在を証明した新規低分子毒 pleurocybellaziridine(PA)が血液脳関門を通過し、脳に侵入することによって本急性脳症に特異な脱随病変が惹起される。」本研究ではこの説を立証する。さらに、1)基質特異性をもたない、2)基質の両末端からエキソ型に分解する、という世界で初めて発見された新規複合体のプロテアーゼ活性に着目し、基質非特異性の発現機構を明らかにすることで、治療・予防への道筋を切り開くとともに新規酵素としての応用展開も目指す。
研究の性格
- 主たるもの:基礎科学研究
- 従たるもの:応用科学研究
全体計画
これまでに、(1)スギヒラタケの熱水高分子画分からマウスに致死性を示す糖タンパク質(B3と仮称)の探索、(2)スギヒラタケレクチン(P. porrigens lectin: PPL)の精製、(3)エタノール可溶部から神経細胞に毒性を示す低分子化合物PAの探索を行うことで急性脳症発症機序の解明が試みられてきた。その結果、現在までにスギヒラタケからのB3の精製、PPLの精製・遺伝子クローニング・異種発現系の構築に成功している。本課題では、1)B3の構造解析・PPL-B3複合体形成機構の解明、 2)PAの生合成経路の解明と代謝産物の同定、3)毒性発現機構の解明の3課題に取り組み、 基質特異性が全くない新規酵素創出、PA生合成に関与する遺伝子・代謝産物同定、スギヒラタケ急性脳症発症メカニズム全容 解明を目指す。
今年度の研究概要
スギヒラタケの毒性成分にペプチドタグが付与された人工タンパク質を体内に投与した場合、脳への移行量がどの程度であるか明らかにすることで、スギヒラタケの毒性成分が実際に脳で働いて毒性を発揮するか検討を行う。
外部との連携
鈴木 智大 宇都宮大学 バイオサイエンス教育研究センター 准教授(研究代表者)
浅川 倫宏 東海大学 創造科学技術研究機構 准教授
崔 宰熏 静岡大学 農学部 助教
- 関連する研究課題
- 25973 : PJ1_実環境および脆弱性を考慮した健康影響の有害性評価に関する研究
- 25566 : 環境リスク・健康分野(ア先見的・先端的な基礎研究)
課題代表者
前川 文彦
- 環境リスク・健康領域
生体影響評価研究室 - 上級主幹研究員