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気候変動の適応をめぐる科学と政治の交錯ー気候工学と気候移住を事例に(令和 3年度)
The science and politics of adapting climate change: The case of climate engineering and climate migration

予算区分
若手研究
研究課題コード
2022CD019
開始/終了年度
2020~2022年
キーワード(日本語)
気候変動,適応策,気候工学,気候移住
キーワード(英語)
climate change,adaptation,climate engineering,climate migration

研究概要

近年、気候変動の悪影響が顕在化する中、その被害を最小限における適応策の重要性が高まっており、緩和策と適応策は気候変動の対応策の両輪と言われている。しかし、緩和策の遅れにより、通常の適応策ではカバーしきれない気候影響の残余リスクへの対処のあり方をめぐる政治的な論争が現出しつつある。本研究は、論争的な性格ゆえにこれまで政策枠組みから排除されてきた、気候工学と気候移住の二つのアプローチを適応策の文脈で捉え直すことで、気候変動の適応をめぐる人びとの言説の対立を明らかにし、新たな適応の政策的なフレーミングの提示を企図する。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:政策研究

全体計画

近年、気候変動の悪影響が顕在化する中、その被害を最小限における適応策の必要性が強く認識されるようになってきた。しかし、緩和策(CO2排出削減)の遅れにより、通常の適応策ではカバーしきれない気候影響の残余リスクへの対処のあり方をめぐる政治的な論争が現出しつつある。本研究は、気候工学と気候移住の二つを事例に、気候変動の適応をめぐる人びとの言説の対立を明らかにし、新たな適応の政策的なフレーミングの提示を企図する。特に、適応のあり方をめぐる議論では、異常気象への気候変動の寄与度を確率的に特定するイベント・アトリビューション科学が重要な役割を果たすと期待されており、本研究ではその科学的知見がどのように気候工学と気候移住をめぐる政治論争に関与するのかを文献調査や専門家へのインタビュー調査によって明らかにする。

今年度の研究概要

本研究では、合計三年間の研究期間の中で、次の三つの研究内容を具体的な実施項目として年次計画を立てていた。
(1)気候工学・気候移住に関する学術論文・政策文書・報告書の文献調査
(2)気候工学・気候移住をめぐる政策についての言説分析
(3)気候変動の適応策についての新たな概念枠組みの理論構築
研究手法としては当該テーマに関連する学術論文・政策文書・報告書等を網羅的にレビューする文献調査を基本としつつ、文献調査のデータを補完するために、国内外の専門家へのインタビュー・聞き取り調査を平行して実施することを当初予定していた。しかし、新型コロナウイルス感染症の収束が今年度も見通すことができないため、今年度も文献調査を中心に調査を進める。具体的な調査内容としては、国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)や気候変動に関する政府間パネル(IPCC)におけるLoss & Damageに関連する議論を参照しながら、気候変動の影響による残余リスクの対応手段としてどのようなものが政策的な議論の俎上にあがっているのかを調査する。

課題代表者

朝山 慎一郎

  • 社会システム領域
    経済・政策研究室
  • 主任研究員
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