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市民科学手法を活用した外来魚アメリカナマズの侵入前線検出(令和 3年度)
Detecting an invasion front of non-native channel catfish using citizen science

研究課題コード
2021KZ001
開始/終了年度
2020~2021年
キーワード(日本語)
特定外来生物,市民科学,琵琶湖,淀川,矢作川
キーワード(英語)
invasive alien species,citizen science,Lake Biwa,Yodo River,Yahagi River

研究概要

近年、国内複数の水系で外来魚アメリカナマズの分布拡大が進行しつつある。特定外来生物である本種の分布把握は、適切な防除対策を講じる上で極めて重要だが、広大な水域全体での定常的なモニタリングは困難である。本研究では、多様な時期・場所で活動する釣り人に着目し、彼らから収集した情報に基づいて、各水系における本種の分布の最前線(invasion front)を明らかにする。このような市民科学手法を通じて外来種に関する周知を図るとともに、多様な主体の関わるモニタリング体制の構築を進める。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:モニタリング・研究基盤整備

全体計画

本研究では、本種の分布拡大予測および効果的なモニタリング方策の提案を目的とし、淀川・矢作川の2水系においてアメリカナマズの(1)分布の把握、(2)捕獲地点の可視化の2点に取り組む。実際の捕獲状況に基づき、今後の分布拡大に備えて重点的にモニタリングすべき水域を特定する。
本種の分布把握のため、釣り人や漁業者から捕獲情報を募集する。集める情報は「いつ、どこで、何個体捕れたか」の3点とし、捕獲状況などの周辺情報も可能な範囲で聞き取る。分布把握には魚体・写真を物証とする確度の高い情報を使用し、それ以外は予備的な参考情報として活用する。本種の活動期(3–11月)を通年でカバーするため、1月–12月に情報を募る2年計画とする。情報収集の方法は下記3通り:(1) 流域の研究機関、河川管理団体、活動団体や釣具店に、ポスター等の配布協力を依頼、(2) インターネット上での情報発信を通じ、一般市民の方に情報提供を依頼、(3) 生物情報アプリ(Biome、いきものログ等)の投稿情報を収集・整理し、分布情報を抽出。
なお、矢作川では2015年以降、調査研究機関による体系的な魚類相調査が行われていないため、本計画で定期的な採集調査をおこない、市民の提供情報とあわせて分布把握に活用する。

今年度の研究概要

2021年度は、各種SNSおよび生物情報アプリ『Biome』にて収集した情報を整理し、淀川・矢作川の両水系における本種の侵入前線(invasion front)を明らかにする。
並行して、矢作川での定期採集を年4回程度おこない、本種の分布状況を把握する。

外部との連携

【調査協力】株式会社バイオーム、豊田市矢作川研究所、矢作川水族館、名城大学

備考

【民間研究助成】公益信託富士フイルム・グリーンファンド

課題代表者

吉田 誠