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大量死リスク評価を可能にする希少猛禽類の人工多能性幹細胞の樹立(令和 2年度)
Establishment of endangered raptor iPSCs for evaluation of environmental risk

予算区分
NA 寄付 乾太助記念動物科学研究助成基金
研究課題コード
2021NA001
開始/終了年度
2020~2021年
キーワード(日本語)
絶滅危惧種,iPS細胞
キーワード(英語)
endangered animal,iPSCs

研究概要

我が国には絶滅に瀕する猛禽類も少なくない。この様な猛禽類は上位捕食者であるため、個体数が減少すると生態系が大きく崩れる。したがって、我が国の生態系保全の観点において絶滅危惧猛禽類は早急に保護が必要な野生動物の筆頭格である。希少な猛禽類の保護を進めるためには、大量死の回避が重要な要因である。猛禽類の大量死を引き起こす要因として、感染症や汚染物質の影響が挙げられる。この様な大量死リスクに対する感受性を予め把握できれば、効率的な希少猛禽類の保護につながり、生物多様性の保全に貢献できる。
 希少な猛禽類の感染症や汚染物質の影響を予測するためには、個体を用いた実験研究が第一選択であるが、絶滅危惧種の個体を用いた実験的研究は不可能である。一方で、細胞であれば、死亡個体からであっても取得できる。したがって、培養細胞を効果的に使用すれば、希少な猛禽類の大量死を引き起こす要因の一つである感染症や汚染物質に対する感受性が予測できる。本研究では、iPS細胞を樹立し、将来的に肝細胞や神経細胞へ分化することで、大量死リスクの正確な評価を目指す。肝細胞や神経細胞の死亡個体からの取得は困難であるが、iPS細胞であれば、取得が容易である線維芽細胞を元に樹立が可能である。本研究は、申請者が確立したニワトリのiPS細胞の樹立方法を基礎にして、希少な猛禽類のiPS細胞を樹立し、感染症や汚染物質の影響評価につなげることで、希少猛禽類の保護増殖につなげる。

研究の性格

  • 主たるもの:技術開発・評価
  • 従たるもの:応用科学研究

全体計画

初年度に、猛禽類の人工多能性幹細胞の樹立を試みる。2年度目に細胞の性質の解析をすすめる。

今年度の研究概要

研究代表が開発したニワトリで有用であった方法を用いて猛禽類の人工多能性幹細胞の樹立を試みる。

課題代表者

片山 雅史

  • 生物多様性領域
    環境ゲノム研究推進室
  • 研究員
  • 博士(農学)
  • 農学,生物工学,生化学
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