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研究者と教育者の協働によるシビック・アクション促進に向けた環境教育プログラム開発(令和 2年度)
Development of environmental education program promoting civic action in cooperation with researchers and educators

予算区分
CD 文科-科研費
研究課題コード
2023CD005
開始/終了年度
2020~2023年
キーワード(日本語)
環境教育,ESD,サステナビリティ・トランジション,シティズンシップ教育,シビック・アクション
キーワード(英語)
Environmental education,Education for Sustainability Development,Sustainability transition,Citizenship education,Civic action

研究概要

これまで日本の環境教育では個人行動の促進に重点が置かれており、環境問題の解決に向けて他者と協働し、社会に参画する行動(以下、シビック・アクションと呼ぶ)をどのような教育が促進し得るのかについては、十分な知見が無い。
本研究では、シビック・アクション促進に資する国内外の既存教育プログラムの分析と、シビック・アクション実践者へのインタビュー調査をふまえ、社会心理学的知見に基づきシビック・アクション促進に必要な教育プログラムの要件を明らかにしたうえで、研究者と教育者が協働して、中高生向けのモデル教育プログラムを設計・実施・検証する。

研究の性格

  • 主たるもの:応用科学研究
  • 従たるもの:基礎科学研究

全体計画

■1〜2年目(2020〜2021年)
1.シビック・アクション実践者へのインタビュー調査
環境問題に関するシビック・アクションを実践している学生や20代の社会人15名程度にインタビュー調査を行い、シビック・アクションに至るまでの経緯、動機、影響要因、周囲との関係、現在抱えている問題等を把握する。
2.国内外の既存プログラムの調査
国内の小中学校にアンケート調査を実施して、シビック・アクション促進を目的とした既存事例の情報を幅広く収集し、特に参考になると思われる国内事例を10件程度選出する。また、国外事例についても文献やウェブ調査を実施し、参考となる事例を3件程度選出する。選出された事例に対しては電話もしくは訪問によるインタビュー調査を行う。

■3年目(2022年)
3.モデル教育プログラムの設計と実施
研究者と教育者のチームが協働して、中学校向けと高等学校向けの2種類のモデル教育プログラムを設計する。さらに、海外協力チームとの意見交換を行い、設計をブラッシュアップする。
設計されたモデル教育プログラムは、大田区立大森第六中学校とドルトン東京学園で実施する。

■4年目(2023年)
4.モデル教育プログラムの評価と検証
 プログラム参加者のシビック・アクションに対する行動意図の変化、およびシビック・アクションに影響を及ぼす心理的要因の変化を把握するために、参加者には事前・事後のアンケート調査を実施するとともに、数名に対してインタビュー調査を実施する。また関係者への効果を評価するために、プログラムに携わった教諭、地域関係者、保護者等を集めたグループインタビューを実施する。

今年度の研究概要

■シビック・アクション実践者へのインタビュー調査
環境問題に関するシビック・アクションを実践している学生や20代の社会人15名程度にインタビュー調査を行い、シビック・アクションに至るまでの経緯、動機、影響要因、周囲との関係、現在抱えている問題等を把握する。インタビュー対象者は「持続可能な社会に向けたジャパンユースプラットフォーム」等、環境問題に取り組む若者のネットワークを活用して抽出するほか、学生との協働活動を活発に行っている(一社)Think the Earth(研究協力者)からも紹介を得る。これまでの社会心理学的影響要因研究で明らかにされている「行動意図」への影響要因と、インタビュー結果を比較することにより、若者がシビック・アクションの「実践」に至るプロセス、トリガー、強い影響を及ぼす心理的要因を分析し、既存の行動モデルを検証・改良するとともに、本研究のモデル教育プログラムに取り入れるべき要件を明らかにする。
■国内外の既存プログラムの調査
国内の小中学校にアンケート調査を実施して、シビック・アクション促進を目的とした既存事例の情報を幅広く収集し、特に参考になると思われる国内事例を10件程度選出する。また、国外事例についても文献やウェブ調査を実施し、参考となる事例を3件程度選出する。選出された事例に対しては電話もしくは訪問によるインタビュー調査を行う(今年度はオセアニア地域か欧州のどちらかへの訪問を想定)。参考事例の選出基準は、学校内で完結するアクションではなく地域や社会に働きかける戦略的なアクションを目指していること、問題解決に向けて学校外のステークホルダーと協働していること、コンフリクトやジレンマが生じる複雑なテーマを扱っていること、学習者や地域への効果が大きかったとされていること等であり、これら全てを満たしている事例を選出する。
主な調査項目はプログラムの内容、対象者、実施関係者、期間、目標と実施後の効果検証の結果である。これにより、国内外で実施されてきた取り組みの到達点と課題を明らかにするとともに、本研究のモデル教育プログラムに取り入れるべき要件を網羅的に抽出する。

外部との連携

■研究分担者
京都橘大学・国際英語学部・教授 水山光春
東京都市大学大学院・環境情報学研究科・教授 佐藤真久
武蔵野大学・教育学部・特任教授 荒木貴之

■研究協力者
棚橋乾 多摩市立連光寺小学校
柴裕子 大田区立大森第六中学校
杉浦正吾 杉浦環境プロジェクト?
上田壮一 一般社団法人Think the Earth

課題代表者

森 朋子

担当者