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適応策のシナジー・トレードオフを考慮した気候変動適応計画の評価に関する研究(令和 2年度)
Development of Evaluation Techniques for Climate Change Adaptation Plan Accounting for Synergy and Trade-Off between Strategies

予算区分
BA 環境-推進費(委託費) S-18-1(4)
研究課題コード
2024BA002
開始/終了年度
2020~2024年
キーワード(日本語)
気候変動適応,統合評価モデル,ネクサス,ABM
キーワード(英語)
climate change adaptation,integrated assessment model,Nexus,ABM

研究概要

水資源、インフラそして食料(農業)はわれわれの生存・生活にとって最も基本的かつ重要な資源である。しかしこれらの資源利用は相互に依存関係にあり、一方を追求すれば他方を犠牲にせざるを得ないというトレードオフ関係、あるいは資源を利用するステークホルダー間の対立(コンフリクト)が存在する場合がある。そして、このような状況は気候変化によってますます圧力がかけられている。それぞれの資源利用に対する気候変化や社会経済変化が及ぼす影響については、これまで多くの研究がされてきており、それらに対する適応計画も模索されている。しかし、水資源、インフラ、農業の連環・相互作用(ネクサス)を考慮した気候変化影響の評価ならびに適応計画の策定についての研究はいまだ緒についたばかりである。
このような背景を踏まえ、本研究では、地方公共団体や流域を対象として、水・インフラ・農業ネクサスの統合評価モデルを開発する。さらにこのモデルを用いて、各資源に及ぼす気候変動影響評価の結果に対する個別の適応策について、資源利用ステークホルダー間の相互作用を考慮した場合の適応計画の整合性および有効性について統合的分析・評価を行う。

研究の性格

  • 主たるもの:政策研究
  • 従たるもの:技術開発・評価

全体計画

本研究では、水資源・インフラ・農業ネクサスにおける気候変化による影響推計とそれに対する適応計画について、動的に変化するネクサスのステークホルダーの行動を逐次反映しつつ、その結果生じるトレードオフやコンフリクトを分析・評価し、ひいてはシナジーに向けた適応計画を提示する一般的フレームワークを構築する。具体的な目標は以下の二つである。
1)本戦略的研究開発課題で実施される他のテーマ、サブテーマおよび既存研究の成果から得られる水、インフラそして農業に関する気候変化影響の評価ならびに適応計画の知見に基づいて、水・インフラ・農業ネクサスの統合評価モデルを開発する。モデルは、気候変化環境下における各資源の時間的空間的動態を記述するサブモデル(影響予測サブモデル)と各資源を利用するステークホルダーをエージェントとするサブモデル(人工社会サブモデル)から構成される。
2)1)で作成されたモデルを用いて、モデル地域を対象として、気候変動影響評価の結果ならびにその適応策を実行した際に、対象とする水資源・インフラ・農業ネクサスにどのような状況(トレードオフやコンフリクト)が生じるかを推計することにより、適応策の整合性および有効性について分析・評価を行う。

今年度の研究概要

影響予測および適応策評価に関する既存研究などを参照にしつつ、気候変動適応センターや気候変動適応情報プラットフォームA-PLATとの協働のもと、対象地域の現地調査を行ない、統合モデルに取り込むべき要素(利用する資源とステークホルダー等)を特定する。

外部との連携

本研究は、早稲田大学の横沢正幸教授が研究代表を務める研究課題への研究分担者としての参画である。

課題代表者

岡田 将誌

  • 気候変動適応センター
    気候変動影響評価研究室
  • 主任研究員
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