- 予算区分
- BA 環境-推進費(委託費) 2FS-2001
- 研究課題コード
- 2020BA004
- 開始/終了年度
- 2020~2020年
- キーワード(日本語)
- 短寿命気候強制因子,排出緩和シナリオ
- キーワード(英語)
- SLCF,Mitigation scenraio
研究概要
前戦略課題S-12では、エネルギー部門に注目し、BC、対流圏オゾンの前駆物質である窒素酸化物(NOx), 一酸化炭素(CO), 揮発性有機化合物(NMVOC)、および冷却効果を持つ大気汚染物質である二酸化硫黄(SO2)に対して、地球全体およびアジア域を対象に環境影響と温暖化の両方を緩和する排出シナリオを探索した。しかし、削減される大気汚染物質の種類によっては新たな温暖化を促進する可能性があるため、大気汚染物質による健康被害を減らしながら地球温暖化も緩和することのできる最適な短寿命気候強制因子削減策を、さらに探索していく必要がある。
そこで次期の戦略的研究開発(?)課題において、エネルギー部門だけでなく、非エネルギー部門における短寿命気候強制因子(メタンやフロン)を加えて緩和対策を評価し、健康影響と温暖化影響の双方を同時解決するためのSLCFsに係る影響緩和シナリオを評価する必要がある。また、全球気候モデルによる複雑な相互作用の評価結果や影響モデルによる環境被害や気候影響の評価結果を考慮して、SLCFs影響緩和シナリオを再度探索し、緩和策の費用分析を考慮した、最適な影響緩和シナリオを評価する必要がある。
研究の性格
- 主たるもの:政策研究
- 従たるもの:技術開発・評価
全体計画
次期の戦略的研究開発(?)課題を実施するにあたり、そのFSである本研究課題では、SLCFsシナリオ策定に用いてきた世界多地域多部門の技術積み上げ型モデルに、新たにフロン類に係るモジュール設計・開発を行い、モデルに組み込む実験をし、モントリオール議定書キガリ改正の評価に向けた準備を進める。またメタンに関する対策技術情報を収集し、メタン排出の評価に係るモジュールの拡充・拡張を進め、さらに対流圏オゾンの前駆物質と関連のある反応性窒素(NOx, N2O, NH3)に関する対策技術の情報収集を実施し、SLCFs排出削減の深堀評価に必要とされる要素を新たにモデル分析に組み込むための準備を進める。これらを元に、パリ協定の2度目標を達成しつつ、同時にSLCFs削減を進める最適影響緩和シナリオの探索にむけた予備的シナリオ実験を実施し、戦略的研究開発(?)課題に向けた本テーマの研究体制を整備する。
今年度の研究概要
SLCFsシナリオ策定に用いてきた世界多地域多部門の技術積み上げ型モデルに、新たにフロン類に係るモジュールを組み込み、パリ協定の2度目標を達成しつつ、同時にSLCFsによる健康影響・環境影響を軽減させる早期削減シナリオ評価の準備を進める。また、戦略的研究開発(?)課題における本テーマの研究体制を整備する。
外部との連携
九州大学、東京大学
課題代表者
花岡 達也
- 社会システム領域
地球持続性統合評価研究室 - 室長(研究)
- 博士(工学)
- 工学,システム工学,経済学