ユーザー別ナビ |
  • 一般の方
  • 研究関係者の方
  • 環境問題に関心のある方

企業の温暖化適応策検討支援を目的とした公開型世界水リスク評価ツールの開発(令和 2年度)
Development of an open global water risk assessment tool to support investigation of adaptation measures to climate change in the private sector

予算区分
BA 環境-推進費(委託費) 2RF-1802
研究課題コード
1820BA006
開始/終了年度
2018~2020年
キーワード(日本語)
水資源
キーワード(英語)
water resources

研究概要

本研究は企業の温暖化適応策検討支援を念頭においた公開型世界水リスク評価ツールを開発する。研究はサブテーマ1「全球水資源モデルの公開型世界水リスク評価ツールへの展開」とサブテーマ2「全球水資源モデルのパラメータ同定のための全球河川流量解析に関する研究」からなる。
サブテーマ1は全球水資源モデルH08を駆使することにより、ウェブベースの世界水リスク評価ツールを完成させる。H08に気象・地理データを入力すると、世界の自然水循環と人間水利用を0.5°の空間解像度・日単位で計算することができる。まず、高精度気候データ・シナリオおよび社会経済データ・シナリオを利用して、全球水資源モデルH08を利用したシミュレーションを行い、現在と将来の洪水と渇水に関する出力を得る。得られた出力は統計的手法を利用して5段階の水リスク指標へと変換する。サプライチェーンについては、主要農畜産物に対象を限定し、国際貿易を通じた水リスクの輸出入の分析を行う。また、人間水利用を含む地球水循環を統合的に解析できるH08の強みを生かして水リスクの要因分析を行い、水リスク増減の要因を定量的に示す。ウェブインターフェースを開発し、指標と要因分析結果を視覚的にも分かりやすく表示する。研究期間中に企業やリスクコンサルティング業界のニーズと動向の調査も行い、設計に反映する。
サブテーマ2は全球水資源モデルH08の河川流量の推定精度を飛躍的に高めるため、全球河川流量の解析を行う。まず、これまでに蓄積した世界の河川流量観測データを解析し、各地域の流出特性を明らかにする。次に、流出特性を地形・地質に関連付けすることで、観測流量が得られない地域の特性についても推定する。得られた情報をもとに全球水資源モデルH08のパラメータ同定を実施し、水リスク評価の精度向上に不可欠な全球河川流量の再現性向上を図る。

研究の性格

  • 主たるもの:応用科学研究
  • 従たるもの:基礎科学研究

全体計画

全球水資源モデルH08に拡張・改良を加え、利用することにより、現在および将来の世界の水リスクを定量的に評価する公開型のツールを開発する。全球水資源モデルによる一貫した温暖化影響評価シミュレーションに基づいて世界の洪水・渇水・サプライチェーンに関する水リスクを高い精度で推定する。また世界の河川流量観測データの解析をもとにした全球水資源モデルの水文パラメータ同定を実施し、河川流量の推定精度を飛躍的に高める。結果を指標化し、リスク要因の分類も行う。企業ニーズ等も設計に取り込みつつ、リスク指標と要因をウェブインターフェースを介して視覚的にも分かりやすく提供することで企業の適応策検討を支援する。

今年度の研究概要

水リスクの指標化2:前年度までに得られたサプライチェーンリスクを指標化する。また個別に評価された水リスクを統合した総合水リスク指標を算出する。
リスク要因の分析:前年度に実施したリスク要因シミュレーションで得られた大量の出力を分散分析して要因別の寄与を定量化する。また、気候モデルの違いによる将来予測の不確実性についても同様に定量化する。
最終版ウェブインターフェースの開発:サプライチェーンリスクおよび総合水リスク指標を表示する機能をWebIFに追加する。また、前年度までの民間動向調査に基づき、WebIFの機能を強化する。
ウェブインターフェースのインターネットセキュリティ強化:WebIFをインターネット上に公開するにあたり、悪意のある攻撃等からサイトを守るためにコンテンツのセキュリティ強化を図る。

外部との連携

農業・食品産業技術総合研究機構 農村工学研究部門との共同研究である。

課題代表者

花崎 直太

  • 気候変動適応センター
    気候変動影響評価研究室
  • 室長(研究)
  • 博士(工学)
  • 土木工学
portrait

担当者