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化学物質体内動態モデル及び曝露逆推計モデル構築システムの開発(令和 2年度)
Systematic Development of Pharmacokinetic and Exposure Reconstruction Models for Chemicals of Personal Use

予算区分
BA 環境-推進費(委託費) 5-2003
研究課題コード
2022BA004
開始/終了年度
2020~2022年
キーワード(日本語)
曝露評価,体内動態モデル,曝露逆推計モデル,曝露介入試験,バイオモニタリング
キーワード(英語)
Exposure assessment,Pharmacokinetic model,Exposure reconstruction model,Exposure intervention,Biomonitoring

研究概要

本研究では、バイオモニタリングによって得られた体内濃度と、曝露モデルによって得られた曝露量とを結びつける曝露逆推計モデルの構築を目的とする。研究協力者を対象に、曝露媒体を一定期間コントロールすることで化学物質曝露量を把握する介入試験を実施し、曝露媒体試料・生体試料の計測と体内動態モデルを組み合わせることで、体内濃度から化学物質の曝露量を推計する手法を開発する。
サブテーマ1では、サブテーマ2の介入試験で得られた曝露媒体試料・生体試料の分析結果(サブテーマ3・4)を用いて曝露逆推計モデルを構築する。経皮曝露のモデル化学物質としてパラベン類(防腐剤)及びトリクロサン(殺菌剤)、経口曝露のモデル化学物質としてフタル酸エステル類及び農薬(有機リン、ピレスロイド、ネオニコチノイド、フィプロニル等)を対象とし、生体試料中濃度と曝露媒体中濃度の実測値から体内動態モデルを構築して皮膚吸収率、血中濃度推移、尿中排泄速度等の動態モデルパラメータを算出する。これらのパラメータに基づいて、生体試料中濃度から曝露媒体中濃度を推計する曝露逆推計モデルを構築する。また、介入試験で得られた試料は、将来的に他の化学物質の評価に用いることのできるよう分注・長期保管して試料バンク化する。さらに、曝露係数及び動態モデルパラメータ等を情報収集あるいは体内動態モデルを用いて算出し、データベースとして公開することで、化学物質の体内動態に関する研究基盤を提供する。サブテーマ2は、3年間で約100名の20〜50歳の健康な男女をリクルートし、化学物質の曝露量をコントロールするための介入試験を実施する。協力者には、5日間の全ての食事と飲料水及びその期間に使用するパーソナルケア製品(シャンプー、ハンドソープ、基礎化粧品等)を提供してそれらの製品のみを使用して生活してもらい、摂取量・使用量等を記録し、モデル化学物質曝露量を把握する。調査期間内及び期間前後の全ての随時尿、調査期間前後の血液を採取、分析することで、モデル化学物質の体内濃度を経時的に追跡する。サブテーマ3では、介入試験で使用した食事やパーソナルケア製品中のモデル化学物質濃度を分析し、曝露媒体中濃度と摂取量・使用量からそれぞれの物質の曝露量を算出する。サブテーマ4では、モデル化学物質の曝露マーカーを探索し、介入試験で採取した生体試料のモデル化学物質濃度を分析して、体内動態(代謝による変化を含む)を把握する。

研究の性格

  • 主たるもの:応用科学研究
  • 従たるもの:モニタリング・研究基盤整備

全体計画

本研究の最終目標は、バイオモニタリングによって得られた生体試料中化学物質濃度と、曝露モデルによって得られた曝露量とを結びつける曝露逆推計モデル(exposure reconstruction model)の構築とその調査手法の確立である。本研究で曝露逆推計モデルを構築することにより、種々の化学物質について体内濃度から曝露量を推計することが可能となるため、将来的にエコチル調査等の成果(生体中濃度と健康影響の関連)に基づいた化学物質のリスク管理を実現する。
曝露逆推計モデルの構築に必要な、皮膚吸収率、血中濃度推移、尿中排泄速度等の動態モデルパラメータは、曝露媒体中濃度と生体試料中濃度の実測値から体内動態モデルを構築することで算出する。食事及びパーソナルケア製品使用の介入試験を実施して曝露媒体試料、生体試料を採取、分析し、体内動態モデルを構築する。本研究で実施する介入試験は、化学物質の投与を行わないため協力者の負担を軽減でき、かつ食事及びパーソナルケア製品使用を把握することで曝露量をコントロールできることから、化学物質の体内動態研究分野では独創性の高い手法である。
3年間で約100名の協力者に対して介入試験を行い、食事及びパーソナルケア製品使用についてこちらで提供するものを5日間使用していただく。経皮曝露のモデル化学物質としてパラベン類(防腐剤)及びトリクロサン(殺菌剤)、経口曝露のモデル化学物質としてフタル酸エステル類及び農薬(有機リン、ピレスロイド、ネオニコチノイド、フィプロニル等)を対象とし、その期間の曝露媒体(食事、パーソナルケア製品、ハウスダスト)と生体試料(血液及び尿)を採取、分析することで、曝露量と体内濃度の推移を実測する。これらの実測値を用いて体内動態モデルを構築し、動態モデルパラメータを算出する。ここで得たパラメータを用いることで、曝露逆推計モデルを構築する。曝露逆推計モデルは、上記のモデル化学物質あるいはそれ以外の化学物質を実測することで検証する。採取した試料は、分注・長期保管して試料バンク化することで他の化学物質の評価に用いることのできるよう整備するとともに、曝露係数及び動態モデルパラメータ等のデータベースを公開し、化学物質の体内動態に関する研究基盤を提供する。

今年度の研究概要

サブテーマ1:
介入試験(サブテーマ2)に用いる食事及びパーソナルケア製品を選定し、協力者への配布方法や説明資料、質問票等を作成して介入試験実施の準備を進める。倫理審査承認後は、サブテーマ2と協力して速やかに介入試験を実施し、生体試料、食事試料、パーソナルケア製品試料、ハウスダスト試料の採取と分注を進め、化学分析用に各機関に配布するとともに、試料バンク作成の準備を進める。

サブテーマ2:
倫理審査承認後、健康な成人男女50名程度(初年度は40〜50名を目標)をリクルートし、介入試験を実施する。平日の5日間について、食事、飲料、間食等を用意して、飲食したものとしなかったものを記録するとともに分析用にも保存して曝露量推計に用いる。介入期間中に使用するパーソナルケア製品(シャンプー、ハンドソープ、基礎化粧品等)は、男女別にモデル化学物質の含まれない製品を選定し、期間中に使用した量を記録して曝露量等を推計する。曝露媒体試料は、食事、パーソナルケア製品、ハウスダストを採取する。生体試料は、調査期間前、調査期間中及び調査終了1週間後の全ての尿(蓄尿ではなく全ての随時尿)と調査期間前後の血液を計3回程度採取する。

サブテーマ3:
介入試験実施までは準備をサポートするとともに、曝露媒体試料の分析法を整備し、化学分析を進める。フタル酸エステル類の分析法については、既存の方法では対象とされていないフタル酸エステル代替物質を含めて対象とする手法に改良し、再現性が2割以内となるような精度の定量分析法を確立する。

サブテーマ4:
介入試験で得られる生体試料の分析法を確立し、モデル化学物質の体内濃度を測定する。生体試料について、モデル化学物質及び代謝物等を想定したスクリーニング分析を行い、バイオモニタリングに最適な曝露マーカーを探索する。探索された曝露マーカー同位体ラベル内部標準を用いて再現性が2割以内となるような精度の定量分析法を確立する。パラベン類やトリクロサンについては、代替物質、関連物質を含めて対象とする手法に改良し、認証標準試料等の分析を通じて分析精度を確認する。

外部との連携

名古屋大学:上山純
産業技術総合研究所:小栗朋子、篠原直秀
愛媛大学:国末達也、仲山慶、田上瑠美

関連する研究課題

課題代表者

磯部 友彦

  • 環境リスク・健康研究センター
    曝露動態研究室
  • 主任研究員
  • 博士(農学)
  • 化学,生物学,解剖学
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担当者