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放射性物質によるコンクリート汚染の機構解明と汚染分布推定に関する研究 <模擬変質試料を用いた浸漬試験[イメージングプレート測定・解析]>(平成 31年度)
Study on the mechanism and distribution estimation of the contamination of concrete by radionuclide

予算区分
MA 委託請負
研究課題コード
1719MA002
開始/終了年度
2017~2019年
キーワード(日本語)
コンクリート,汚染機構,予測,放射性セシウム
キーワード(英語)
concrete,contamination mechanism,estimation,radio cesium

研究概要

「英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業廃炉加速化プログラム」の一つとして,「放射性物質によるコンクリート汚染の機構解明と汚染分布推定に関する研究」(研究代表名古屋大学丸山一平教授)が採択された。本研究は2018-2020年度の期間で予定されている。再委託先として、単年度契約にはなるが、3年にわたる事業である。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:モニタリング・研究基盤整備

全体計画

託業務の目的
事故後、福島第一原子力発電所の建屋内のコンクリートは、部位によって核種との接触状態が異なり、また複数の核種(Cs、Sr、α核種等)が存在し、核種の分布や浸透状況が多岐にわたっていると想定される。被覆材が施されている部分は内部まで浸透している様子は観察されない。被覆材のない壁面コンクリートには、コンクリートの乾燥、中性化やひび割れ状態に依存して、核種は水蒸気や散水等に伴うコンクリート内部への水の移動により、また付随的に粒子状物質として汚染していると推測される。その後、汚染水が滞留した部分では拡散によって浸透していると予測されるが、コンクリートの汚染状況に関するデータは十分ではない。また、コンクリートの経年変化によって、核種の移動、蓄積・溶解の作用機構は異なると予測される。
想定される1F廃炉の各工程において、廃炉作業の設計に必要な情報としては、(1)作業環境改善における除染方法の選択のための汚染機構、(2)建屋解体前除染として部位・核種ごとの汚染分布、(3)廃棄物の処理・処分において推計される廃棄物の量及び濃度、が挙げられる。そこで本研究では、1Fにおけるコンクリート除染に有用な情報提供により廃炉作業に貢献することを目指し、施工時から運転中の履歴によるコンクリートの変質と事故時の状況を勘案して、事故後から将来に渡る汚染分布を推計することを目的とした核種とコンクリートの相互作用、変質と水の移動を考慮可能な物質移行の数値モデルの提案とそれによる評価を実施する。本プロジェクトでの短期的検討により汚染機構に関する知見・基礎データの集積を行い、その後の中長期的検討で必要となる核種浸透挙動の評価および予測手法の構築に繋げる。また、人材育成の観点から、本研究への若手研究員の登用および学生の参画を図り、汚染の現実と核種移行とセメント・コンクリート材料科学の最先端知見を融合させた本研究を通じて、現実の長期的廃炉業務に貢献できる研究者を育成する。 

今年度の研究概要

長期養生した試験体を用い、強制的に乾燥及び炭酸化したモルタル試料について、Cs-137とSr-90の浸透プロファイルを取得し、変質状態が核種の浸透に及ぼす影響を評価する。また、これまでの情報を整理し、溶出に関するまとめを行う。

外部との連携

(受託者)国立大学法人 名古屋大学 環境学研究科都市環境学専攻 教授 丸山 一平
(再委託先)国立研究開発法人 国立環境研究所 福島支部 汚染廃棄物管理研究室、主任研究員 山田 一夫
(再委託先)株式会社 太平洋コンサルタント 電力・原子力営業部、副部長 芳賀 和子
(再委託先)国立大学法人 東北大学 大学院工学研究科、助教 五十嵐 豪
(再委託先)国立研究開発法人 日本原子力研究開発機 福島研究開発部門 廃炉国際共同研究センター 廃棄物処理技術開発グループ、グループリーダー 駒 義和

課題代表者

山田 一夫

  • 福島地域協働研究拠点
    廃棄物・資源循環研究室
  • フェロー
  • 博士(工学)
  • 材料工学,工学,地学
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