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DNAのメチル化検出による野生鳥類の年齢推定(平成 31年度)
Estimation of age of wild birds by DNA methylation detection

予算区分
CD 文科-科研費
研究課題コード
1719CD035
開始/終了年度
2017~2019年
キーワード(日本語)
メチル化,年齢推定,野生鳥類
キーワード(英語)
methylation,age estimation ,wild bird

研究概要

本研究では、DNAのメチル化の検出による野生鳥類の年齢推定を目指す。DNAから年齢推定
ができれば、対象とする動物集団の年齢構成がたちどころに判る。寿命の長い種について
は、例えば保全に必要な遺伝的多様性が、どの年齢集団、どの世代の個体間のものなのか
は、大変重要であり、年齢推定が実現できれば、野外での生態学的研究に画期的な進歩を
もたらすことが期待できる。近年、年齢によってDNAのメチル化の程度、すなわちメチル
基が付加されたシトシンの割合が異なることが注目され、ヒトにおいて法医学への応用の
可能性が検討されている。しかし研究は発展途上であり実用化はできていない。野生鳥類
での研究は皆無である。そこで本研究では、鳥類において、哺乳類で報告された年齢に伴
うメチル化変動の指標となる候補遺伝子の相同領域を調べ、メチル化と年齢の関連を解明
する。さらに、野外調査に役立てるため、羽根から抽出した微量DNAでも関連が見られる
かを調べる。鳥類には寿命の長い種が多く、哺乳類と同じく関連性が見つかれば、野外で
の生態研究に大いに役立つ。また哺乳類と鳥類で異なる傾向を示す場合には、進化的な意
義を考察することができる。

研究の性格

  • 主たるもの:技術開発・評価
  • 従たるもの:応用科学研究

全体計画

本研究では、メチル化検出による野生動物の年齢推定の実用性を、3 つの段階を経て確認する。
1.鳥類の年齢とメチル化の度合いは関連するか?
2.非侵襲的に得られるDNA からも、メチル化の検出が可能か?
3.野生集団の年齢構成の情報による観測情報の補完
寿命が10 年以上と長く、各年齢での試料が容易に得られ、生育環境が同一の、絶滅危惧種ヤン
バルクイナを対象とする。沖縄の飼育繁殖施設の、1 才から9 才までの各年齢、および10 才以上
の高齢個体の血液からDNA を抽出し、バイサルファイト処理によりメチル化シトシンをチミンに
変化させた後、PCR 増幅、シーケンスし、非処理試料と比較して、メチル化の程度を検出し、年
齢による差異を調べる。さらに同一個体で過去に採取した試料と現在の試料を比較して、年齢に
よる変化を調べる。
次に、羽根や死亡個体の組織から抽出したDNA でも、年齢による変化が見られるか調べる。
野生由来の試料を用いて集団の年齢構成の推定を行い、年齢ごとの遺伝的多様性、つがいの年
齢差、事故死個体の年齢、野生での繁殖可能年齢など、年齢を知ることによる観察情報の補完を
検討する。他種でも、年齢の情報が得られるフンボルトペンギン、イヌワシ、タンチョウ、コン
ゴウインコなどを用いて、年齢推定の有用性を検討する。

今年度の研究概要

1、年齢既知のヤンバルクイナを対象に全ゲノムをバイサルファイト処理の前後で比較することで、加齢に伴ってメチル化が増減する領域を検出する(村山、大沼、大学院生)。
2、野生鳥類の非侵襲的な解析を目指すために、羽根から抽出したDNA において、1、と同じ結果が得られるか調べる。さらに、巣に残されたふ化後の卵殻膜やフン由来のDNA についても試みる。ヤンバルクイナでは、交通事故の死亡個体が年間30 個体以上回収されるので、これらの各組織も用いる(村山、伊藤、大学院生)。

外部との連携

京都大学、NPO法人どうぶつたちの病院沖縄

課題代表者

村山 美穂

  • 生物・生態系環境研究センター
  • 連携研究グループ長
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担当者

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    大沼 学生物・生態系環境研究センター