- 予算区分
- BA 環境-推進費(委託費) 2-1902
- 研究課題コード
- 1921BA003
- 開始/終了年度
- 2019~2021年
- キーワード(日本語)
- 温室効果ガスインベントリ,排水,放流水,メタン,亜酸化窒素
- キーワード(英語)
- greenhouse gas inventory, wastewater, effluent, methane, nitrous oxide
研究概要
2016年度の日本国温室効果ガスインベントリ(2018年提出)によると,未処理もしくは処理後に放流された生活排水に由来するCH4,N2Oの排出量(CO2換算)は,排水処理分野全体の30%超となっている.従って,我が国の実態に即した排出係数を開発し,新たな排出量算定方法を提案し,その効果的な削減方策を検討することは,極めて重要な位置づけにある.そこで本研究では,水環境に放流された生活排水に由来するCH4・N2O の発生メカニズムを科学的に解明し,我が国の優れた排水処理技術や整備状況を反映しうる独自のCH4,N2O排出係数を開発するとともに,新たな排出量算定方法とそれに基づく排出量削減方策について検討する.
具体的には,放流時の窒素形態によらず,N2Oの排出係数が一定とされているIPCCガイドラインの課題を解決するため,窒素の化学形態とその構成割合を主たるパラメータとして,同位体解析や微生物解析等を実施し,メカニズムの解明とGHGs排出量への影響を把握する.また日本における河川の特徴や気候帯を踏まえ,我が国独自の排出係数の開発を進めるとともに,新たなCH4,N2O排出量算定に係る方法論を検討・提案する.この際,今後IPCCガイドラインに盛り込まれる可能性のある処理水由来のCH4や処理水中の溶存N2O等についても考慮する.また,GHGs排出量を効率的・効果的に削減するための方策として,処理施設で排出されるGHGs(エネルギー起源を含む)と処理水質や放流窒素形態等を処理プロセス毎に整理した上で,処理水由来CH4,N2Oを合わせて排水管理全体のGHGsとして捉え,その排水管理全体のGHGs排出量を最小化する施設整備・運転管理について検討する.
これらの成果をまとめ,我が国の実態に即したより精緻なGHGs排出インベントリの作成と効果的なGHGs削減に貢献する.
研究の性格
- 主たるもの:行政支援調査・研究
- 従たるもの:応用科学研究
全体計画
初年度は、現地調査を通じ、GHGs排出に影響を及ぼす主要なパラメータの抽出を行う。また、室内モデル試験を実施し、GHGs排出ポテンシャルの評価に着手する。さらに、下水処理場、浄化槽における放流水の調査を行い、河川に放流される有機物量、窒素含有物量及びその化学形態、構成割合等の解析・評価を行う。これらと並行して、関係機関とも連携しつつ、複数の排出係数を用いた方法論を検討し、排出量算定方法の骨子をまとめるとともに、排水管理全体に係るGHGs排出源を整理し、解析する。次年度は、河川等の調査およびモデル試験を継続し、放流水に含まれる汚濁物質調査の結果を元に、水質バランス(有機物・窒素の形態,構成割合等)と環境条件を考慮したGHGs排出ポテンシャル評価を行う。また、我が国独自の新たな方法論のドラフトを作成する。作成した新たな方法論に基づき、放流水由来GHGsの試算や削減方策の検討を開始する。さらに、処理施設における排水管理全体のGHGs排出モデルを構築する。最終年度は、継続して調査研究を進め、我が国独自の排出係数及び排出量算定方法を提案する。さらに、排水管理全体のGHGs排出モデルから総合的なGHGs排出量最小化のシナリオを検討する。これにより、排水管理全体としての排出削減方策を提案する。
今年度の研究概要
現地調査を通じ、GHGs排出に影響を及ぼす主要なパラメータの抽出を行う。また、室内モデル試験を実施し、GHGs排出ポテンシャルの評価に着手する。さらに、下水処理場、浄化槽における放流水の調査を行い、河川に放流される有機物量、窒素含有物量及びその化学形態、構成割合等の解析・評価を行う。これらと並行して、関係機関とも連携しつつ、複数の排出係数を用いた方法論を検討し、排出量算定方法の骨子をまとめるとともに、排水管理全体に係るGHGs排出源を整理し、解析する。
外部との連携
東洋大学(研究代表機関)、秋田工業高等専門学校、東京農工大学
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