- 予算区分
- CD 文科-科研費
- 研究課題コード
- 1820CD024
- 開始/終了年度
- 2018~2020年
- キーワード(日本語)
- 湿地,湧水,農業生態系
- キーワード(英語)
- wetland, spring water, agricultural ecosystem
研究概要
印旛沼集水域(千葉県)の谷津を対象に、その奥部の生物相を説明する統計モデルを構築することを研究期間全体の目標とする。途中過程で、個別の絶滅危惧種の分布規定要因に関する研究成果、土地利用と水量・水質・種の豊かさの関係に関する研究成果、土壌シードバンクの分布パターンに関する研究、履歴効果と絶滅の負債に関する研究成果をそれぞれとりまとめて報告する。
研究の性格
- 主たるもの:基礎科学研究
- 従たるもの:応用科学研究
全体計画
関東平野の台地の辺縁にある小規模な谷である「谷津」の水源地付近(=谷津奥部)に成立する湿地を対象に、谷津と集水域の土地利用の変化が生物相に及ぼす影響を明らかにする。谷津奥部は台地からの地下水に由来する湧水を水源とし、水田として利用されるとともに、湧水に依存する独特な、現在では絶滅が危惧されている種を多く含む動植物相を育んできた。しかし、狭隘な地形のため、耕作放棄されている場所が多い。さらに台地上の土地利用の変化やメガソーラー施設の建設のため、湧水の量や質が変化し、ハビタットの質が変容していることも予測される。本研究では、谷津奥部の動植物相に影響する環境要因を総合的に明らかにし、生物多様性保全を考慮した土地利用計画の検討に有益な基礎情報を得る。さらに、過去の土地利用の履歴とそれによる生物的・非生物的遺産の存在や、絶滅の負債の効果が生物多様性に及ぼす影響を明らかにすることで、基礎生態学的な課題にも寄与する。
今年度の研究概要
1)現地での動植物調査:対象とした谷津奥部において、植物、昆虫、魚類、両生爬虫類、鳥類の調査を行い、動植物相を総合的に明らかにする。
2)環境調査:各調査地において、湧水の水質、水位変動、光利用性を調査する。また古地図や空中写真、文書記録に基づき、各谷津における耕作、圃場整備、放棄の歴史についての情報を整理する。
3)環境改善実験:絶滅危惧種の生育条件としての重要性が示唆された要因を操作する実験(「湿地撹乱実験」「斜面林『裾刈り』実験」を想定)を行い、効果を検証する。
外部との連携
○西廣淳(生物・生態系環境研究センター)
課題代表者
西廣 淳
- 気候変動適応センター
- 副センター長
- 博士(理学)
- 理学 ,生物学