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人口減少社会における、経済への外的ショックを踏まえた持続的発展社会に関する分析(平成 30年度)
Sustainability analysis in an economy with decreasing population and exogenous shocks

予算区分
CD 文科-科研費
研究課題コード
1418CD002
開始/終了年度
2014~2018年
キーワード(日本語)
包括的富,自然資本,シャドー価格,持続可能な発展,再生可能エネルギー,人口減少
キーワード(英語)
Inclusive wealth, Natural capital, Shadow prices, Sustainable development, Renewable energy, Decreasing population

研究概要

震災等の外的ショックや、人口減少という今日的課題を念頭に、新しい時代文脈における持続可能な発展の経済学的ビジョンを提示する。この新しい持続可能な発展論を構築するにあたって重要なことは、人口減少・高齢化下での持続可能な発展論を新たに構築すること、安定性や持続性を脅かす大規模災害のような甚大な外的ショックに対する事前的および事後的対応について、国際・国内・地域レベルといった様々な規模の相互関係から分析すること、そして政策へと架橋するためのデータベースと指標の構築が行うことである。

これまでの持続可能な発展の経済学研究は、人口増加と経済成長を前提とした発展途上国を念頭においた分析が多かった。ところが、日本を始め成熟段階に入った国々では、人口減少・少子高齢化が持続可能な発展にとって重要な障害になっている。また、これまでは、基本的には定常的状態における持続可能性の議論に終始しており、東日本大震災のように突発的で大規模な自然災害を持続可能な発展の問題として適切に取り扱ってこなかった。これに対して本研究は人口減少下で環境・資源問題や災害リスクに直面する成熟経済の持続可能性に焦点をあてる。こうした研究は、先進国の中でも少子高齢化が進み、東日本大震災と原発事故を経験した日本においてこそできるものであり、世界全体の持続可能な発展の実現のために成果や情報を広く発信しなければならないものである。本研究は我が国のこれからの経済発展ビジョンを提示するだけでなく、いずれ世界全体が成熟化したときに参照できるモデルの構築を目指している。

研究の性格

  • 主たるもの:応用科学研究
  • 従たるもの:政策研究

全体計画

人工資本・人的資本・自然資本を統合し算出した、持続可能な発展の指標である包括的富指数(IWI)について、日本国内の地域レベルでの算出を終え、データの更新が可能な体制を整える。構築された国内データを使用して宮城県と福島県を対象にIWIの変化を測定し、震災等の外的ショックが持続可能性にもたらした影響を議論し、都道府県、政令指定都市、市区町村レベルでの新国富指標の計算に取り組む。分析結果は査読付き論文・日本語書籍として発表するだけでなく、国内政策に示唆を与える。

将来人口を含めた一人当たりで見た動学的平均功利主義IWIと通常の一人当たりIWIを理論・実証的に比較分析し、持続可能性分析に与える影響を考察する。

また、各資本のシャドー価格の理論と実証分析を深める。

政策ツールとして、IWIやグリーンNNPの額・成長率にリンクする債券を思考実験として提案し、各国の制度がIWIに与える影響を分析する。

今年度の研究概要

資本のシャドー価格は、BAUシナリオ等のもとで、資本が社会的福祉に与える限界的な変化と定義されるが、これは資本が将来もたらすインカムゲインとキャピタルゲインとして前向きに求められることが最近の研究で明らかになった。そこで、過去の投資額の積み上げから減価償却を差し引いた後向きシャドー価格と前向きシャドー価格の関係について理論的に考察する。そして、人工資本と自然資本(再生不能資源)を代替する再生可能エネルギーに本理論を適用し、前向き・後向きシャドー価格を使って、再生可能エネルギー資本の計算を行い、今後の持続可能性分析に適用されるベースを構築する。

また、人口と自然資本のアメニティ価値を含めた包括的富の理論分析を行う。そして過去のマクロデータを使って、過去の包括的富が福祉の向上をどの程度説明できているかについて実証研究を行う。

外部との連携

九州大学、神戸大学

課題代表者

山口 臨太郎

  • 社会環境システム研究センター
    環境社会イノベーション研究室
  • 主任研究員
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