- 予算区分
- CD 文科-科研費
- 研究課題コード
- 1618CD036
- 開始/終了年度
- 2016~2018年
- キーワード(日本語)
- 世代内衡平,割引率,気候変動,所得分配,空間割引
- キーワード(英語)
- Intragenerational equity,Discounting,Climate change,Income distribution,Spatial discounting
研究概要
気候変動を緩和する対策は、講じられる時点が近い将来であるのに対し、効果が出るのは数十年後から数百年後と、かなり遠い将来である。対策の費用と便益の発生時点が大きく異なるため、将来発生する費用や便益を、現在発生する費用や便益と比べてどの程度重みづけするかが、政策を評価するうえで重要になる。この重みづけに使われるのが、消費の時間割引率である。消費の時間割引率とは、今年1万円消費するのを先送りするときに、将来何万円もらえれば、消費者の効用が一定に保たれるかを表したものである。本研究では、昨今関心が高まっている世代内衡平性や空間的な不均一性が割引率に与える影響を分析する。
研究の性格
- 主たるもの:基礎科学研究
- 従たるもの:政策研究
全体計画
まず、ある時点での総消費を与件として、総消費が国民(各国)に分配されるルール(「所得分配メカニズム」と名付ける)により、毎期の消費の分配パターンが様々に決まる理論モデルを構築する。これにより、消費割引率を決めるラムゼー公式において消費成長率×分配の不平等回避度とされていた部分を精緻化し、経済全体における所得や消費の分配変化の影響を考慮できる。以上の理論モデル分析に基づき、気候変動評価で使われる妥当なパラメータの下での数値例を検討する。
さらに、大気汚染、生態系サービス等に関する文献から、消費の空間割引率に関する先行研究をまとめる。これに基づき、時間を捨象した空間において、消費、資本、環境が不均一に分布している状況を定式化し、空間割引率がどのように変わるかを表す理論モデルを構築する。
今年度の研究概要
まず、理論モデル分析に基づき、気候変動評価で使われる妥当なパラメータの下で、世代内不平等が消費割引率に与える影響を分析する。その際、消費だけでなく環境の不均一や人口による調整も行う。今後数百年の消費割引率のシミュレーションを行い、論文として公刊する。
また、時間を捨象した空間において、消費、資本、環境が不均一に分布している状況を定式化し、空間割引率がどのように変わるかを表す理論モデルを構築する。
課題代表者
山口 臨太郎
- 社会システム領域
経済・政策研究室 - 主任研究員
- 博士(経済学)
- 経済学