- 予算区分
- CD 文科-科研費
- 研究課題コード
- 1719CD008
- 開始/終了年度
- 2017~2019年
- キーワード(日本語)
- 反応性窒素,生物地球化学,一酸化二窒素
- キーワード(英語)
- Reactive nitrogen,Biogeochemistry,Nitrous oxide
研究概要
環境中での反応性窒素(Nr)増加は、温暖化・富栄養化・成層圏オゾン破壊など様々な地球環境問題と関連しているが窒素循環を広域的に評価する定量的モデルは確立されていない。本課題では、実測データとモデルを組み合わせることで、流域から全球スケールで反応性窒素のフローと収支を定量的に把握する独自の統合的モデルを開発する。温室効果ガスとして注目される一酸化二窒素(N2O)など重要なターゲットを選び、生成プロセスとその広域的トレーサとなる同位体比について生物地球化学的解析を行う。統計データが入手可能な過去50年間および将来シナリオに基づいて、人為的な窒素利用が広域的な窒素循環に与える影響に関するモデル解析を行い、持続可能な社会構築に資する科学的知見を提供する。
研究の性格
- 主たるもの:基礎科学研究
- 従たるもの:応用科学研究
全体計画
反応性窒素(Nr)の循環を広域的にシミュレートする数値モデル開発に関する研究を実施する。これまで開発した生物地球化学モデルを基礎とし、流域から全球スケールで窒素のフローとストックを定量的に評価するモデルへと高度化する。窒素動態の全体を表すスキームと素過程を再検討し、影響を与える環境要因や応答感度について実測データに基づく改良を進める。FAOなどの統計データやIPCCで用いられている社会経済活動・気候変動などの将来シナリオに基づいて、アジア地域の主要流域や全球を対象として、過去から将来にわたるNr循環の変化とそれに伴う環境負荷を定量的に解析し、今後の最適窒素利用・管理に資する科学的知見を提供する。
今年度の研究概要
H29年度は窒素動態のうち、硝化と無機化への比率が高かったが、H30年度は脱窒、揮散、溶脱などにも着目する必要がある。また、同位体の導入は本課題でオリジナリティが高いテーマで有り、プロセス解明と検証の両面から窒素同位体の特徴を再現することを目指す。それらの成果を関連学会で発表すると供に、段階的に論文として発表していく計画である。近年の陸域生態系における窒素循環に関する生物地球化学的知見、植生の窒素利用に関する生理生態学的知見を活用し、陸域生態系モデルの高度化を図る。アジア地域の主要河川流域(中国の長江や黄河、インドシナ半島のメコン川流域など)および全球陸域を対象としたシミュレーションを行う。
外部との連携
分担研究者:東京工業大学
課題代表者
伊藤 昭彦
担当者
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仁科 一哉地球システム領域