- 予算区分
- BA 環境-推進費(委託費) 2-1701
- 研究課題コード
- 1719BA014
- 開始/終了年度
- 2017~2019年
- キーワード(日本語)
- 地球温暖化,炭素循環,アジア太平洋
- キーワード(英語)
- Global warming,Carbon cycle,Asia Pacific
研究概要
既存の大気中温室効果ガスの観測データ(GOSAT, OCO-2, CONTRAIL等)を利用し、将来期待されるより高分解能の多項目観測(GOSAT-2, OCO-3, TROPOMI等)のデータを利活用することを見据えたインバージョン・データ同化手法(トップダウン的手法)を開発する。また、全球、特にアジアについて人為起源の独自排出量統計を加えたボトムアップ手法の強化を行い、複数のトップダウン手法・ボトムアップ手法の統合解析に基づき、吸排出量の長期的変化と空間分布の情報に基づく不確実性評価と高精度化を行う。
このため、第一に、主要な温室効果ガスであるCO2とCH4、さらには人為・自然起源分離の情報を得るための COを観測対象とし、既存のマルチプラットフォーム(地上観測、船舶、航空機、衛星)のデータを最大限活用するための整備を行うと同時に、深刻な観測空白域をもつアジアのデータカバレッジを向上させる。
第二に、CO2とCH4の同化解析システムを開発し、COを利用した解析結果を併せた包括的な炭素収支解析を行う。現在、これらのモデル開発は複数の研究機関で進められていることから、複数のモデル解析の結果を統合して最適な評価を行う手法の開発を行う。
第三に、大気輸送モデルに基づくトップダウン手法と、人為起源の独自排出量推計や多点地上観測データに基づくボトムアップ手法による結果を統合的に解析し、全球及び地域別の温室効果ガス吸排出量の評価、それらの長期的変化の検出、ならびに不確実性評価と高精度化を行う。
以上の研究開発に基づき、本研究終了後もオペレーショナルに国別・地域別の温室効果ガス吸排出量評価を行うと同時に、世界の大都市や東南アジアで特に深刻な森林火災等を対象に大規模排出源の監視を行う統合型観測解析システムを確立する。
研究の性格
- 主たるもの:基礎科学研究
- 従たるもの:応用科学研究
全体計画
既存の温室効果ガス観測データを最大限活用し、将来期待されるより高分解能・多項目の観測データの利用を可能にするインバージョン・同化解析手法(トップダウン的手法)を確立する。また、特にアジアについて排出インベントリデータの高精度化を含むボトムアップ手法の強化を行う。複数のトップダウン手法・ボトムアップ手法の統合解析に基づき、吸排出量の空間分布に関する不確実性の把握と高精度評価を行う。
平成29年度は、各種プラットフォームで観測される大気中温室効果ガスデータについて、本研究により開発される解析システムに入力及び検証データとして用いるデータを整備し、他サブテーマへ提供する。特に、航空機を用いたアジア域でのCO2, CH4, CO濃度観測を強化する。他サブテーマと協力し、複数のアジア排出インベントリデータを用いた場合の炭素収支評価の不確実性を把握し、排出インベントリの課題を地域別に明らかにする。
平成30年度は、各種データの整備提供、アジア域での観測強化、排出インベントリの課題検討を継続すると同時に、他サブテーマで開発されている同化システムをベースにして、衛星データの同化手法の開発を行う。また、他サブテーマの主導により実施するCO2収支の総合評価に協力し、結果の評価ならびに課題の抽出を行うため、海外の専門家を交えた国際ワークショップを開催する。
平成31年度は、他サブテーマと協力し、開発された同化解析システム並びに高度化された解析手法に基づき、地域別温室効果ガス収支のオペレーショナルな算出を可能にする解析システムを確立する。その結果を、他サブテーマが実施する統合解析に提供し、協力して結果をとりまとめる。
今年度の研究概要
各種データの整備提供、アジア域での観測強化、排出インベントリの課題検討を継続すると同時に、他サブテーマで開発されている同化システムをベースにして、衛星データの同化手法の開発を行う。また、他サブテーマの主導により実施するCO2収支の総合評価に協力し、結果の評価ならびに課題の抽出を行うため、海外の専門家を交えた国際ワークショップを開催する。
外部との連携
気象庁気象研究所、国立研究開発法人海洋研究開発機構、国立大学法人千葉大学