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途上国におけるランダム化実験による環境公共財の私的供給の研究(平成 30年度)
Study using a randomized field experiment on private provision of environmental public goods in developing countries

予算区分
CD 文科-科研費
研究課題コード
1718CD001
開始/終了年度
2017~2018年
キーワード(日本語)
公共財の私的供給,開発途上国,ランダム化フィールド実験,廃棄物問題
キーワード(英語)
Private provision of public goods,Developing countries,Randomized field experiment,Solid waste problem

研究概要

途上国における環境公共財の私的供給を促進する政策を対象として、応用ミクロ経済学の手法で研究する。ベトナムの廃棄物問題を研究課題として、フィールドにおけるランダム化比較試験を用いて情報提供政策の効果を評価し、介入が効果を持つメカニズムを検証する。
 ベトナム・ハノイ市の170世帯を無作為に3グループに分け、このうちの2グループに対してポストカードを送付して情報を提供する。ここで、1グループのみには「社会的比較」の情報を追加する。これは、周囲の家計の行動の平均についての情報であり、行動経済学的な介入アプローチとして近年注目されている。家庭の資源ごみの分別行動を対象として、この介入の効果を評価する。これにより、途上国の環境問題を効率的に解決する政策の検証を厳密に行う。

研究の性格

  • 主たるもの:政策研究
  • 従たるもの:応用科学研究

全体計画

公共財の私的供給のミクロ経済学モデルを拡張し、途上国における環境公共財の私的供給についての理論的予測を得る。過去のフィールド調査の結果をベースラインとして活用し、介入とエンドライン調査を行う。実験・調査においてはハノイ貿易大学に研究協力を依頼する。
集めたデータを用いて、回帰分析を行うことで、社会的比較の情報提供の平均的な効果を推計する。さらに、過去の調査で抽出した家計の社会的選好のデータを活用し、交差項を含めた回帰式を推計することで、処置の不均一な効果を分析する。これにより、社会的比較の情報提供が行動変容を促すメカニズムについての示唆を得る。
得られた研究成果を論文化し、2018年度には国際的な学術誌へ投稿する。

今年度の研究概要

引き続き、ランダム化比較試験によって収集したデータを用いた実証分析とそれに対するミクロ経済学理論分析を行い、成果を学術誌へ投稿する。

外部との連携

ハノイ貿易大学

課題代表者

横尾 英史