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環境計測研究分野の概要(平成 30年度)
Environmental Measurement and Analysis

研究課題コード
1620FP080
開始/終了年度
2016~2020年

研究概要

環境問題のメカニズム解明、環境変化の監視、環境問題の解決に向けた国内外の合意形成のための科学的知見の提供、対策技術や施策の有効性評価を環境計測の立場から支えるため、計測手法の開発と高度化、計測手法の応用、計測データからの環境情報の抽出に係る調査・研究を実施する。
 具体的には、大気微粒子の時空間分布の把握を目指し、3年間で高機能ライダーの開発と実環境応用を進め、5年後には大気能動計測と受動計測の複合利用手法を開発する。同時に、マーカー物質やガスならびに粒子成分の計測手法の高度化を進め、5年間で、大気微粒子の発生源推定や微粒子生成・変質のメカニズム解明に貢献する。また、環境中の化学物質の挙動や動態把握を目指し、3年程度で生物活動による有機化合物の放出量推定や、同位体(安定同位体、放射性同位体)や酸素等の測定に基づいたCO2等の発生源別寄与率推定のための手法の高度化を図り、5年間で化学物質計測に基づく環境トレーサーを利用した大気圏−生物圏の相互作用機構解明や炭素循環・CO2収支の理解に貢献する。画像計測の応用と環境情報の抽出として、温暖化による生態系影響評価へのデジタルカメラ等の画像情報の活用手法開発と実環境応用を2年間程度で実施し、5年後には画像計測を活用した環境監視システムの構築を図る。また、化学物質曝露などの環境ストレスの脳神経系への影響評価に活用可能な指標情報抽出を目指し、MRIを用いたヒトをはじめとした画像・スペクトル情報の活用を図り、5年間で健常人ベースラインデータや患者データの蓄積とその統計解析を行う。
 以上により、環境計測技術の革新的進展、環境中の化学物質の動態解明、生態系の時空間的な変動の把握ならびに新たな環境悪化の懸念要因の発見やその評価等に貢献する。


今年度の研究概要

環境問題のメカニズム解明、環境変化の監視、環境問題の解決に向けた国内外の合意形成のための科学的知見の提供、対策技術や施策の有効性評価を、環境計測の立場から支えるため、計測手法の開発と改良、計測手法の応用、計測データからの環境情報の抽出に係る調査・研究を実施する。

H30年度は以下の研究に取り組む。
?干渉計を用いた波長挿引測定手法を導入した新たな多波長高スペクトル分解ライダーシステムを構築し、試験計測を実施する。
?有機化合物の実時間計測法や気液界面反応計測手法を活用して、ガス−エアロゾル間の不均一反応による粒子内有機組成の変化を計測し、エアロゾルの成長・変質機構について考察する。
?複数地点で採取した大気微粒子や自動車などからの発生源粒子など、異なる種類の微粒子の化学組成の特徴と、その毒性を計測し、それぞれの特徴や組成と毒性の関係などについて、試料間の比較を行う。
?生物起源ならびに人為起源の揮発性有機化合物(VOC)の計測手法の高度化を図りつつ、マレーシア熱帯林における林床植物などからのVOC放出量計測やフィルン空気試料中のVOC精密計測に応用する。
?つくばおよび東京において大気中のCO2およびO2濃度の高精度連続測定を実施し、短期変動成分におけるO2/CO2 比の変動からCO2の変動に対する生物および化石燃料起源の寄与率の季節変化を明らかにする。
?加速器質量分析装置による14C測定の高感度・高精度化に向けた試料前処理並びに測定条件の検討を行う。その応用として、海底堆積物中の微化石・生物起源有機化合物やPM2.5・ブラックカーボンなどの環境試料の14C測定を行う。
?電車など移動体からの撮影画像を活用し、土地被覆や植生の変化などを面的に把握するための画像処理技術を開発する。
?環境ストレスのヒト脳への影響の新たな指標情報抽出のため、高磁場MRIの課題の一つの感度不均一分布を考慮したヒト脳代謝物濃度測定技術の改良をはかるとともに、動物側での情報抽出を目指してラット脳高分解能画像測定技術、分画技術の開発を行う。

課題代表者

渡邉 英宏

  • 環境リスク・健康領域
  • 領域長
  • 工学博士(物理工学)
  • 物理学,工学,医学
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