- 予算区分
- CD 文科-科研費
- 研究課題コード
- 1618CD023
- 開始/終了年度
- 2016~2018年
- キーワード(日本語)
- 変異原物質,酸化ストレス,発がん,リスク評価,体内変異原性
- キーワード(英語)
- mutagen, oxidative stress, carcinogenesis, risk assessment, in vivo mutagenesis
研究概要
酸化ストレスによる8-oxo-dGなどの酸化的DNA付加体の生成は、発がんと強い関連性があるとされるが、「ゲノムDNA上のどのような位置で多く8-oxo-dG が生成され、突然変異が誘導されて発がんに至るか?」といった課題は未解決である。本研究では、酸化ストレスによる突然変異を高頻度で発生するゲノムDNA上の特定の塩基配列部分(ホットスポット)を同定する。さらに、このような特徴的な突然変異が、Msh2等DNA修復酵素遺伝子欠損マウスにおいて、酸化ストレス誘導剤の投与で誘発した腫瘍の発がんターゲット遺伝子でも発生していることを明らかにする。これにより、8-oxo-dGなどの生成により誘導される突然変異の特性を解析し、突然変異のホットスポットの誘導が、酸化ストレスによる発がんの引き金になっている可能性を検証する。
研究の性格
- 主たるもの:基礎科学研究
- 従たるもの:技術開発・評価
全体計画
gpt deltaマウスに酸化ストレス誘導剤を投与し、小腸や肺で発生した突然変異の塩基配列を解析し、酸化ストレスにより発生する突然変異のホットスポットを同定する。次に、酸化ストレスによる突然変異スポット発生への8-oxo-dG等の寄与を解明するために、Msh2などDNA修復酵素遺伝子が欠損した高感受性のマウスに、薬剤投与などにより酸化ストレスを誘導し、発生した腫瘍のがん関連遺伝子にも酸化ストレスによる突然変異のホットスポットが存在するかを明らかにする。
今年度の研究概要
本年度は、主にDNA修復系酵素遺伝子欠損マウスを用いて酸化ストレスによる突然変異ホットスポット発生への8-oxo-dG等の寄与を解明する。
(1) DNA修復酵素遺伝子欠損gpt deltaマウスにおけるホットスポットの同定
昨年度から作出してきたMsh2遺伝子欠損gpt deltaマウスに、KBrO3などの酸化ストレス誘導剤を、4週間飲水経口投与する(用量:KBrO3では1.5 g/L)。小腸上皮組織を採取してゲノムDNAを抽出し、体内で発生した突然変異を解析する。これにより、ミスマッチ修復欠損、あるいはミスマッチ修復欠損下での酸化ストレス誘導剤投与により、突然変異頻度がどの程度上昇するかを評価する。
100クローン以上の変異体gpt遺伝子のDNA塩基配列を決定し、ミスマッチ修復欠損、あるいはミスマッチ修復欠損下での酸化ストレス誘導剤投与により、GAA配列中のG塩基(406番塩基)の‘G→T塩基置換’のほか、どの様な突然変異のホットスポットが出現するかを明らかにする。
(2) 炎症により誘導される突然変異ホットスポットの同定
炎症は酸化ストレスを惹起することが知られている。薬剤投与によらない酸化ストレスによる突然変異誘導を解析するために、その予試験としてC57BLマウスに炎症誘導剤・デキストラン硫酸ナトリウム(DSS)およびKBrO3を経口投与して大腸に炎症を誘導し、さらに腫瘍の誘発を確認する。腫瘍が誘発された場合は、gpt deltaマウスにDSSおよびKBrO3を投与し、大腸などの消化管上皮組織からDNAを抽出し、炎症と酸化ストレスにより突然変異頻度がどの程度上昇するかを評価する。
外部との連携
研究分担者 續輝久(福岡歯科大学) 大野みずき(九州大学)
共同研究者 羽倉昌志(エーザイ)
課題代表者
青木 康展
担当者
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野原 恵子
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松本 理
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松本 みちよ