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ヒ素可溶化細菌群とヒ素高蓄積植物を用いたハイブリッド土壌浄化システムの開発(平成 29年度)
Development of the soil remediation system using arsenic-mobilizing bacteria and an arsenic hyperaccumulator plant

予算区分
CD 文科-科研費
研究課題コード
1618CD012
開始/終了年度
2016~2018年
キーワード(日本語)
ヒ素可溶化,ヒ酸還元細菌,鉄還元細菌,モエジマシダ,バイオレメディエーション
キーワード(英語)
Arsenic mobilization,Arsenate-reducing bacteria,Iron-reducing bacteria,Pteris vittata,Bioremediation

研究概要

工場跡地の再開発等に伴う土壌汚染の顕在化が深刻な問題となっており、原因物質としてヒ素が高い位置を占めている。現在、それらの汚染土壌は、ほとんどの場合で掘削除去により処理されているが、極めて高コストである。本研究では、ヒ素可溶化細菌群による土壌からのヒ素抽出と、モエジマシダ水耕栽培系による水中ヒ素除去を組み合わせ、双方の特長を最大限活用することで、低コストかつ実用的なヒ素汚染土壌浄化システムの開発を目指す。

研究の性格

  • 主たるもの:技術開発・評価
  • 従たるもの:基礎科学研究

全体計画

本研究では、3つのサブテーマを段階的に実施する。「ヒ素可溶化細菌群を利用した土壌ヒ素抽出プロセスの開発」では、まず、多様な土壌サンプルを用いて土壌細菌群の持つヒ素可溶化ポテンシャルを体系的に評価する。得られた知見をもとに、ラボスケールリアクターを設計・運転し、リアクターの形状及び運転操作因子の最適化を図る。「モエジマシダ水耕栽培系を利用した水中ヒ素除去プロセスの開発」では、モエジマシダ水耕栽培条件を確立し、ヒ素除去特性を明らかとしたうえで、コンテナスケールの水耕栽培槽を用いた連続処理を行い、プロセスを確立する。最終的には、「両プロセスを統合したハイブリッド浄化システムを設計・運転」し、汚染土壌の浄化とヒ素除去(植物体での回収)を単一の反応槽で実施可能であることを実証する。

今年度の研究概要

(1)土壌ヒ素抽出に最適なバイオリアクターの構築
H28 年度に得られた最適条件をもとに、オンサイトでの簡便な処理を想定したラボスケールリアクターを設計・運転し、効率的なヒ素抽出プロセスの構築を行う。具体的には、植物栽培用コンテナ等を利用した上部開放型のリアクターを試作し、恒温室内で静置する。汚染サイトから採取した実際の汚染土壌に電子メディエーター及び炭素源を含む溶液を加えて湛水状態とし、一定期間後に溶液を引き抜く。固液比、電子メディエーター及び炭素源の濃度等を検討して、ヒ素抽出効率を最適化する。運転中、As・Fe 等の濃度及び酸化還元電位を経時的に測定するとともに、次世代シークエンサーを用いた系内細菌叢の遺伝子解析を適時行い、H28 年度に得られたデータをもとに安定性をチェックする。以上で得られた知見を総合考察し、低コストかつ効率よく含有量基準を達成できる最適プロセスを決定する。
(2)水中ヒ素除去に最適なモエジマシダ水耕栽培プロセスの構築
H28 年度に得られた結果をもとに、コンテナスケールの簡易的な水中ヒ素除去プロセスを構築する。具体的には、処理対象水を含む植物栽培用コンテナにモエジマシダを植栽し、温室内で一定期間栽培する。第一段階ではAs(III)を含む植物培養液を処理対象とし、H28 年度に決定した栽培条件並びにヒ素負荷条件において、連続栽培が可能なことを実証するとともに、環境基準以下までのヒ素除去を目指す。第二段階では、モデル土壌ヒ素抽出水及びモデルヒ素汚染地下水を用い、それぞれの性状にあわせて運転条件を調整する。以上の結果を総合考察し、低コストかつ効率よく環境基準を達成できる最適プロセスを決定する。

外部との連携

千葉大学・東北学院大学・産業技術総合研究所との共同研究

関連する研究課題

課題代表者

山村 茂樹

  • 地域環境保全領域
    土壌環境研究室
  • 室長(研究)
  • 博士(工学)
  • 生物工学,土木工学
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