- 予算区分
- CD 文科-科研費
- 研究課題コード
- 1618CD006
- 開始/終了年度
- 2016~2018年
- キーワード(日本語)
- 有機窒素エアロゾル,液体クロマトグラフ質量分析計,生物由来揮発性有機化合物
- キーワード(英語)
- organic nitrogen aerosol, liquid chromatograph-mass spectrometer, biogenic volatile organic hydrocarbons
研究概要
窒素放出量の大きい東アジア域における森林・都市大気エアロゾルの有機態窒素に焦点を当て、元素分析・分子構造解析と窒素同位体比測定により、植生に由来する有機態窒素エアロゾルの化学形(酸化・還元態)と水溶性特性、生成の反応経路と含窒素の起源を明らかにする。具体的な目的として、
(1)植生影響の大きい大気エアロゾル中の有機態窒素量とその水溶性画分を定量し、含窒素有機物の組成および窒素同位体比の分析から、植生に由来する揮発性有機化合物(テルペン類)から生成する有機態窒素エアロゾルの水溶性特性と酸化・還元形態を明らかにする。
(2)エアロゾル質量分析計を用いた分子構造に基づく組成解析と有機物トレーサ解析から、(1)の有機態窒素エアロゾルの二次生成に至る主要な反応経路と生成支配要因を明らかにする。
研究の性格
- 主たるもの:基礎科学研究
- 従たるもの:応用科学研究
全体計画
国立環境研究所では、液体クロマトグラフ質量分析計を用いて森林や都市において捕集されたエアロゾルサンプル中の有機態窒素分子を分析する。分析結果から、有機態窒素エアロゾルの二次生成に至る主要な反応経路と生成支配要因を明らかにする。
2016年度は、既存の大気エアロゾル試料フィルターをLC/MSを用いて測定する。これまで室内チャンバー実験で発見してきた-ONO2 基を含むイソプレン由来の化合物を中心に有機硝酸の構造解析・同定を行う。試料の濃縮率や各化合物の検出感度・回収率等からLC/MS による最適な測定条件を決定する。また、これまで室内チャンバー実験で得られた質量スペクトルと実大気のスペクトルを比較し、化合物生成の反応経路を明らかにする。
2017年度以降は、新たに観測を行って得られるエアロゾル試料を初年度で各担当者が確立した手法により分析する。有機態窒素の分析結果を相互比較することで、有機態窒素エアロゾルの化学形と起源を明らかにする。
今年度の研究概要
室内チャンバー実験を行って植物由来二次有機エアロゾルマーカーのデータを新たに取得するとともに、昨年試験的に分析した苫小牧のサンプルに関して、通年のサンプルの分析を行ない、得られた二次有機エアロゾルマーカーの季節変化の情報やその他の汚染物質の季節変化の情報から、マーカー化合物生成のプロセスを明らかにする。
外部との連携
研究代表者 宮崎雄三北海道大学助教
- 関連する研究課題
課題代表者
佐藤 圭
- 地域環境保全領域
広域大気研究室 - 室長(研究)
- 博士(理学)
- 化学