- 予算区分
- CD 文科-科研費 若手B
- 研究課題コード
- 1516CD001
- 開始/終了年度
- 2015~2017年
- キーワード(日本語)
- インフォーマルセクター,廃電気電子機器
- キーワード(英語)
- Informal sector,Waste Electrical and Electronic Equipment (WEEE)
研究概要
使用済み電子電気機器廃棄物(E-waste)のインフォーマルリサイクルによる環境汚染や健康被害については、既に様々な既往研究が報告されているが、NPO等によって実施されるインフォーマルセクターのフォーマル化などの各種改善方策が、実際にどのように機能しうるか(したか)を実証的に分析した研究は少ない。
本研究は、フィリピンのマニラ首都近郊のE-wasteインフォーマルリサイクル地域において、国際医療NPOが実施するE-wasteインフォーマルリサイクルの適正化方策をケーススタディとし、作業者の健康状態や周辺環境の改善にどのような効果をもたらしたかを明らかにし、環境改善方策の効果とその普遍性を検討することを目的とする。
研究の性格
- 主たるもの:政策研究
- 従たるもの:基礎科学研究
全体計画
フィリピンにおける廃電気電子機器(E-waste)のインフォーマルリサイクルセクターの適正化方策が作業従事者の健康と環境改善に与える影響を明らかにするため、マニラ周辺のE-wasteのインフォーマルリサイクル地域において現地調査およびアンケート調査を行う。
インフォーマルリサイクルセクターの適正化プロジェクトを行っている国際NGOを訪問し、プロジェクトの実施状況等についてヒアリング調査する。また、実際に活動を行っている各地域を訪問し、現地のコーディネーターや自治関係者、作業者・居住者からプロジェクトの実施前後の状況や現在までの変化について聞き取り調査を行う。現地の研究協力者の協力を得て、各地域の作業者・居住者を対象としたアンケート調査を計画し、NGOの適正化方策プロジェクトに対する受容態度、健康意識や実際のE-wasteリサイクル作業の行動変化について調査を実施する。
2年目は、アンケート調査の結果を統計的に解析し、回答者の属性と受容態度や行動変容の特徴との関係を比較分析する。また、追加的なインタビュー調査や現地調査を行う。フィリピンのインフォーマルセクター支援や廃棄物リサイクル技術、労働、健康、社会調査などの各分野の専門家からの知見やアドバイスも踏まえて、本研究の事例におけるインフォーマルリサイクルの適正化方策が作業者の健康状態や周辺環境の改善にどのような効果をもたらしたかについて、先行研究のレビューも踏まえた考察を行う。本研究の事例から得られた知見が、フィリピン以外の国・地域においても適用しうるのかについて考察し、提言をまとめる。
今年度の研究概要
本研究の目的は、国際医療NGOがフィリピン・マニラで実施しているE-wasteインフォーマルリサイクルの適正化方策がどのようなアクターの行動変容や環境改善効果をもたらしたかについて実証的に明らかにすることにある。H28年度は同NGOのプロジェクトの実施状況をヒアリング調査するとともに、作業者・居住者や関係アクターを対象としたアンケート調査の実施について検討を進める。
外部との連携
共同研究機関:熊本県立大、フィリピン大学ディリマン校
課題代表者
吉田 綾
- 資源循環領域
資源循環社会システム研究室 - 主任研究員
- 博士(工学)
- 工学,経済学,政策学