- 予算区分
- KZ その他公募
- 研究課題コード
- 1416NA001
- 開始/終了年度
- 2014~2016年
- キーワード(日本語)
- 化学イオン化質量分析法,二次有機エアロゾル,オリゴマー,陽子移動反応質量分析計
- キーワード(英語)
- Chemical ionization mass spectrometry, Secondary organic aerosol, Oligomer, Proton transfer reaction mass spectrometry
研究概要
大気中のエアロゾルは地球大気の熱収支に影響を及ぼすことが知られているが、その放射強制力の見積もりの誤差は大きく、全放射強制力の誤差の大部分を占めている。エアロゾル量の見積もりにおいて、二次生成の寄与分の過小評価が指摘されている。最近我々は、室内実験において二次有機エアロゾル中のアルデヒドが絡んだオリゴマー等の検出に成功するとともに、野外観測でバイオマス燃焼気塊中でのアルコール、アルデヒド、カルボン酸などの大きな消失があることを見出した。このことから、ガス−粒子間の反応でオリゴマーを生成する過程の評価が不十分なため、モデルではエアロゾルの二次生成の寄与分を過小評価してしまっているのではないかと仮説を立てた。そこで本研究では、バイオマス燃焼や自動車排ガスで放出される一次粒子や炭化水素の酸化反応で生成する二次粒子をガス状アルコール、アルデヒド、カルボン酸、ヒドロペルオキシドの存在下にさらし、粒子内でのオリゴマー(ヘミアセタール、アルドール(縮合)反応生成物など)の変化と粒子の成長(粒径分布の変化)の関係について調べることを目的とする。
研究の性格
- 主たるもの:技術開発・評価
- 従たるもの:応用科学研究
全体計画
実験は、1m3のテフロンバッグを用いて行う。まず、バッグ内に大気中に存在すると考えられる粒子を入れておく。そこに、ガス状アルコール、アルデヒド、カルボン酸、ヒドロペルオキシドを加え、粒子にそれらのガス成分をさらす。粒子の粒径分布の時間変化を、走査型移動度粒径分布計(SMPS)を用いて連続的に計測する。それと同時に粒子内のオリゴマーの濃度変化を、化学イオン化質量分析法を用いて測定する。イオン化は、正イオン化と負イオン化の両方で検出する。正イオン化は陽子移動反応イオン化を用いる。一方、負イオン化には、北大で開発されたSO2Cl‒を試薬イオンに用いた負イオン化学イオン化を用いる。粒子成分の上記オンライン質量分析計での検出は、まず、カーボンデニューダーを通して、ガス状揮発性有機化合物を取り除き、粒子だけにした後、ラインを加熱して粒子を気化させて、オンライン質量分析計で検出する。粒子としては、バイオマス燃焼や自動車排ガスで放出される一次粒子や炭化水素の酸化反応で生成する二次粒子で行う。
今年度の研究概要
二次有機エアロゾルに加え、一次放出粒子をガス状アルコール、アルデヒド、カルボン酸、ヒドロペルオキシドの存在下にさらし、粒子内でのオリゴマー(ヘミアセタール、アルドール(縮合)反応生成物など)の変化と粒子の成長(粒径分布の変化)の関係について調べる。
外部との連携
共同研究者: 廣川淳 准教授 (北海道大学大学院 地球環境科学研究院)
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