- 予算区分
- BA 環境-推進費(委託費) 1-1603
- 研究課題コード
- 1618BA004
- 開始/終了年度
- 2016~2018年
- キーワード(日本語)
- 東南アジア,分散型生活排水処理,性能評価試験方法,標準化,インベントリー解析
- キーワード(英語)
- Southeast Asia, Decentralized domestic wastewater treatment, Performance testing method, Standardization, Inventory analysis
研究概要
東南アジア地域においては生活排水対策として我が国の浄化槽システムが期待されているが、当該地域は熱帯気候で生活習慣も異なるため、ハード面での現地化が必要となる。また多くの場合、排水基準は定められているが、放流水質を担保する仕組みが欠落しているために粗悪で安価な製品を排除できない状況にある。本研究は、東南アジア地域における生活排水処理技術の性能評価試験方法を開発し、関連制度の確立と技術の現地化を連携して推進するものであり、これにより、適正な処理機能を有する製品の普及と当該地域における水環境負荷削減、さらには、地域標準化による市場の統合および技術開発促進への貢献が期待される。
研究の性格
- 主たるもの:技術開発・評価
- 従たるもの:行政支援調査・研究
全体計画
インドネシアを中心として生活排水の質的・量的特性を明らかにし、性能評価試験方法を確立する。これにより、適切な処理性能を有する製品が市場で適正に選択され、持続的に維持管理がなされるための関連制度の構築を図る。これら試験方法、関連制度について、東南アジアにおける現状分析を通じて、地域標準化に向けた戦略を提示する。
また、東南アジア地域に適用可能な分散型生活排水処理システムの開発を目指し、東南アジアでの生活排水の質・量解析に基づき、高く安定した排水温での微生物分解、汚泥生成・減容化等の特性解析を踏まえ、我が国の浄化槽等の現地化した小・中規模の処理技術を提案するとともに、既存の腐敗槽汚泥を含めた汚泥収集・処理システムの構築を図る。これらの成果を踏まえ、各地域への技術の導入・展開を見据えた排水インベントリー解析により、システム導入による社会的効果の検証を行う。さらに、東南アジアにおける現状分析を通じて、地域標準化に向けた戦略を提示する。
今年度の研究概要
初年度は現地調査を進め、制度化・実証研究に必要なデータ、情報を収集するとともに、性能評価試験方法のドラフト作成、実証試験装置の設計・製造を行う。
(1)性能評価試験および関連制度の確立と小・中規模分散型処理技術の現地化・実証に関する研究
インドネシアにおいて、これまでに研究代表者らが構築した産官学のネットワーク(分散型汚水処理装置を製造する現地企業、中央・地方行政、有識者らによって構成)を活用し、性能評価試験方法のドラフトを作成し、国家標準(BSN)へ提案する。性能評価試験制度の運用体制構築については、省エネ分野の認証制度の事例(ベトナム)を調査し、体制整備プロセスを明らかにする。また、我が国の浄化槽等の小・中規模分散型処理技術の現地化のためのファクターを明らかにするとともに、国立環境研究所の大型恒温実験室(実生活排水を利用)や現地の集合住宅において実証試験(1〜10m3/日程度)を実施するため、設計・製作を行う。都市の人口分布に基づく排水・汚濁負荷インベントリーの構築を行う。
(2)東南アジアにおける環境技術の地域標準化に関する研究
タイ、カンボジアなどの東南アジア諸国における関連規制・制度の現状を調査するとともに、ASEANのACCSQ(アセアン標準化・品質管理諮問評議会)の取り組み、EUが支援している省エネエアコンの規格標準化に向けたASEAN SHINEプロジェクトなど、ASEAN地域での規格標準化に向けた先行事例を調査し、地域標準化に向けたプロセスを明らかにする。
(3)地域の社会特性が生活排水の質・量および排水処理特性に及ぼす影響解析
高く安定した気温、トイレットペーパーを使わない習慣等を踏まえ、インドネシアを中心として生活排水の質的・量的調査による仮の原単位設定を行う。また、排水処理に係る衛生指標を検討する。また、ミニチュア浄化槽を用いたラボ実験により、東南アジアの排水温での排水処理特性の基礎データを取得する。
(4)汚泥の収集・処理システムの開発
インドネシアを中心に汚泥収集・処理の現状把握、汚泥管理に関する法制度の状況把握、発生量の算定、料金設定・徴収の仕組み等に関する文献調査及び現地調査を行い、システム構築の基盤的知見を集積する。
外部との連携
(独)日本貿易振興機構アジア経済研究所、東洋大学理工学部、(公財)地球環境戦略研究機関、(一社)浄化槽システム協会、(一財)日本建築センター、(公財)日本環境整備教育センター