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再生プラスチック製品への規制難燃剤混入実態に関する国際調査:適切な再利用に向けて(平成 27年度)
International survey on the current status of incorporation of regulated flame retardants into recycled plastic products

予算区分
CD 文科-科研費
研究課題コード
1517CD009
開始/終了年度
2015~2017年
キーワード(日本語)
環境負荷低減,再生プラスチック,臭素系難燃剤
キーワード(英語)
reducing environment impact, reclycled plastic, brominated flame retardants

研究概要

現在、残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs条約)対象の難燃剤PBDEsを含む製品であっても、リサイクル及び再生製品の使用は制限されていないため、資源回収された難燃剤含有廃プラスチックやそれを利用した再生製品は国際的に流通しているが、その実態は不明である。PBDEs含有製品の材料リサイクルは、POPsの広範な拡散汚染を招き、元来の使用用途よりもヒト曝露リスクを高める可能性が懸念される。本研究では、規制難燃剤含有廃プラスチックの国際的な循環利用に伴うリスク管理を考える上で重要なケースとして、再生プラスチック製品への規制難燃剤混入実態に関する国際調査を実施し、POPs含有廃製品の適正管理に資するデータを提示することを目的とする。

研究の性格

  • 主たるもの:応用科学研究
  • 従たるもの:行政支援調査・研究

全体計画

本申請課題では、これまでほぼ未着手であった再生プラスチック製品への規制難燃剤混入実態調査を国際的に展開する。まずは、申請課題を効率的に推進できるように臭素系難燃剤のスクリーニング法・簡易分析法を検討し、初年度は国内製品を対象に調査を実施し、作業フローを確定する。次年度以降は申請者らの国際研究者ネットワークを活用し、5〜10ヵ国を対象にPBDEs混入実態調査を展開する。入手国/地域、製造国、製品群、樹脂種類、価格帯などでPBDEs混入実態を類型化し、有害物質混入回避のための方策に資するデータを提示する。また、海外カウンターパートとの議論を通じて、越境移動を伴う廃プラスチック資源の適切な再利用に向けた具体策の提案を目指す。

今年度の研究概要

初年度は、製品中BFRsのスクリーニング法・簡易分析法を検討した上で、国内入手製品を対象にPBDEs含有実態を調査する。海外協力研究者と打ち合わせを行い、海外試料の収集に着手する。

1)製品中BFRsのスクリーニング法・簡易分析法の検討
 本申請課題の製品調査における化学分析は、大量の製品(数百試料を想定)を効率よく調査することを優先する。まずBFRs含有の指標となる臭素濃度を可搬型蛍光X線分析計を用いて非破壊(試料調製・前処理不要)でスクリーニングする。次に、臭素濃度が一定濃度を超過した製品部材についてGC-MS、GC-ECDおよびLC-q-TOFを使用してPBDEsを定性・定量する。規制BFRs以外にも、新規/代替BFRsの含有実態も併せて調査し、データの蓄積を図る。

2)PBDEsの循環系への混入実態の解明(国内調査)
 国内で循環利用されているものについては、再生製品を特定・入手し、化学分析に供試する。国内市場に流通している海外製プラスチック製品についても、再生製品と考えられる製品について規制物質混入実態を調べる。本申請課題ではこれまで未着手であった玩具、食品容器、日用品など本来は難燃性能を必要としない製品やヒトへの曝露リスクが高まる可能性のある製品への混入実態把握に注力する。

課題代表者

梶原 夏子

  • 資源循環領域
    試験評価・適正管理研究室
  • 主幹研究員
  • 博士 (学術)
  • 化学
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