ユーザー別ナビ |
  • 一般の方
  • 研究関係者の方
  • 環境問題に関心のある方

街区設計における建築形状と材料の調和による屋外温熱気流環境・エネルギー消費の改善(平成 27年度)
The improvement of outdoor thermal-wind environment and indoor energy consumption by the harmony of the shape and the material of building for designing the block scale of the city

予算区分
CD 文科-科研費
研究課題コード
1517CD001
開始/終了年度
2015~2017年
キーワード(日本語)
風洞実験,ナノテクノロジー,熱環境
キーワード(英語)
Wind Tunnel Experiment, Nano Technology, Thermal Environment

研究概要

従前、都市の高温化対策は、土木構造物や建築物など、都市の地表面構造物の素材の改善と、それらの物理的形状の改善が独立して研究されており、立地条件(気候)や気象条件(季節・時間帯)などの多様性により、その両者を適切に組み合わせた適用が課題となっていた。また、都市表面における放射とエネルギー収支については、流れ場のような相似則が存在しないほか、その制御も困難であり、スケールモデルを用いた実験事例は、Spronken-Smith and Oke (1999) などによる都市緑地を模したものがわずかに知られるのみである。本研究では、近年開発の著しいナノテクノロジーを応用した新しい建築材料を用い、その屋内外熱環境改善効果について、室内での模型実験、風洞実験のほか、屋外観測や数値シミュレーションによる検証を行い、それにもとづく都市街区デザインについての将来的指針づくりを目標とする。具体的には、風向・風速、日照などの異なる気象条件、異なる材料、窓のデザイン、アスペクト比など街区の形状、材料の配置が、建物周辺の気流系や屋内外の温熱環境へ与える影響を扱う。従前一般の風洞実験においては、建築模型表面を電熱線などで加熱し、建築模型における放射収支を陽に表現しない手法が用いられていた。本研究では流れ場への粗度の影響を最小限にする工夫をしながら、人工太陽光ランプを至近に設置し、夏季晴天日の屋外に近い放射条件を風洞内に再現するという、風洞実験の新しい手法を試みる。

研究の性格

  • 主たるもの:応用科学研究
  • 従たるもの:技術開発・評価

全体計画

平成27年度は、(研)物質・材料研究機構において、ナノテクノロジーを応用した建築材料を用いた屋内模型実験を進めるほか、(研)国立環境研究所において、CFDを用いた数値シミュレーションモデルを開発する。平成28年度以降は、(研)国立環境研究所において風洞実験を進めるほか、(研)物質・材料研究機構において屋外実測による検証を行う。加えて、平成29年度には(研)国立環境研究所において、CFDを用いた数値シミュレーションによる検証を行う。また、(研)国立環境研究所と研究協力協定のある気象庁気象研究所の風洞を利用し、毛利室長ほか風洞の研究者の指導・協力を得る。

1.ナノテクノロジーを応用した建築材料を用いた屋内模型実験(主に平成27年度)
2.風向と風速の効果についての風洞実験(平成28年度および平成29年度)
3.屋外実測による検証(主に平成28年度)
4.数値シミュレーション(平成27年度および平成29年度)

今年度の研究概要

パラメーターの違いがもたらす素材のパフォーマンスとその屋内外熱環境影響を調べるため、Wuが(独)物質・材料研究機構の実験室内に特設した小型実験チャンバーに、実際の素材を用いた街区の3次元スケールモデル(15分の1)を設置し、人工太陽光ランプ(ハロゲン)を照射して、研究用高速赤外線カメラ等を用いる各種の計測を行う。建築模型の屋上には、実際の主な用材に合わせて各種の断熱材料を貼る。住宅には木材、工場にはアルミニウム、商用ビルや図書館には高分子複合材料(複合ポリマー)などである。すべての屋根面には、メソ多孔やナノ細孔を持つセラミック系の断熱コーティングで被覆を行う。通常の窓と比較する特殊な窓には断熱性能を持たせ、反射と吸収を適用物質で制御する。このスケールモデルの表層および躯体内部に温度センサーや熱流計を設置し、熱の挙動を計測するほか、サーモカメラやスケールモデル周辺に分布させた気温センサー(放射シールド付)により、屋外空間への効果を測定する。素材の種類や形状、擬似的な日射条件などのパラメーターを変化させ、一連の測定を行う。非定常な日照条件を再現するため、人工太陽光ランプにより、1日分の日照変化(方角、高度、雲量)を再現する。また(独)国立環境研究所において、チャンバー実験、風洞実験、屋外実測の検証のため、計算流体力学(CFD)ソフトウェアを用いた数値シミュレーションを開発する。屋内エネルギー消費と屋外熱環境とのインタラクションをCFDモデルに組み込む。

課題代表者

一ノ瀬 俊明

  • 連携推進部
    研究連携・支援室
  • 専門職
  • 博士 (工学) (東京大学)(都市工学専攻論文博士)
  • 土木工学,地理学
portrait

担当者

  • Lin Ye