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生物多様性の景観的および遺伝的側面とその観測手法に関する研究(平成 27年度)
Research project on observation and evaluation of landscape and genetic aspects of biodiversity

研究課題コード
1115AA051
開始/終了年度
2011~2015年
キーワード(日本語)
景観,土地利用,遠隔計測,遺伝子判別,バーコード遺伝子,遺伝的距離
キーワード(英語)
landscape, land use, remote sensing, genotyping, DNA barcode, genetic distance

研究概要

生物多様性の評価・予測・保全には、生物種が好む環境の景観的要素と環境と生物との関係を規定する生物種の遺伝的属性とを多様な生息環境にわたって観測することが欠かせない。本プロジェクトでは、このような観測を実行し、同時にその効果的な手法をあみだしていくことを目的とする。サブテーマ1"リモートセンシングによる生物多様性の景観的基盤の解明と手法開発"において、地図・衛星画像・空中写真・インターネットカメラ画像等を活用して歴史的及び現時点での地理情報の整備を行うとともに、発展する遠隔計測の技術を採用して景観を詳細かつ迅速に観測する手法の開発・考案に取り組む。サブテーマ2"遺伝子分析による生物多様性の遺伝的基盤の解明と手法開発"においては、遺伝子分析によって、生物多様性の歴史的および現時点での分布形成過程を解明するとともに、発展する遺伝子分析技術を取入れて生物多様性の定量的評価手法を開発・考案する。

今年度の研究概要

(1)国内の土地利用情報に関して、1970年代及び現在についても引き続き統一した基準で全国の景観基盤情報の整備を行う。重点対象とする生態系或いは地域において、航空機観測やビデオ・定点カメラ観測を含む遠隔計測により取得されたデータの精度検証を継続して行い、観測に最適な手法を提案し、モニタリング体制の整備を引き続き行う。

(2)霞ヶ浦産藻類を対象とする培養株ベースのDNAバーコーディング情報と株情報の整備、DDBJへの登録、公開作業を進めるとともに、霞ヶ浦湖水の環境DNAに含まれる藻類由来DNA情報の取得とその多様性解析を行う。DNAバーコーディングにより発見された隠蔽種の記載を行うと共に、種多様度とため池の環境条件との関係を解明する。同様に、霞ヶ浦産魚介類のDNAバーコーディングを行ない、種特異的なプライマーが設計できるか検討する。チョウ類の代表的種の緑地間移動頻度を推定する遺伝マーカーを追加探索する。霞ヶ浦の環境DNAによる多様性検出精度を上げるため、塩基配列の解析手法をさらに検討する。前年度に開発したサンゴ褐虫藻の簡便な分類手法を用いて、実際の海水や宿主サンゴ中における褐虫藻の存在比についての適用可能性について検証を行う。また、次世代シーケンサーを用いて生物多様性解析の精度向上を行うため、細胞分画、DNA抽出、DNA増幅等の条件検討を行う。

(3)霞ヶ浦及び東京都内の緑地等をモデル場として、景観情報及び遺伝子情報を統合した生物多様性評価の検討を継続する。

課題代表者

山野 博哉

  • 生物多様性領域
  • 上級主席研究員
  • 博士(理学)
  • 地理学,地学,理学
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担当者