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生態系サービス提供ユニットフレームワークによる自然再生の意志決定支援モデル構築(平成 26年度)
construction of decision-making support model for nature restoration using ecosystem-service-providing unit framework

予算区分
CD 文科-科研費
研究課題コード
1315CD019
開始/終了年度
2014~2015年
キーワード(日本語)
生態系サービス
キーワード(英語)
ecosystem service

研究概要

地方自治体レベルの生態系サービスと生物多様性を両立させる保全・自然再生の取り組みが強く求められている。サービス供給ユニット(必要な生態系サービスの提供を満たす生物量)の概念は、取り組みが生態系サービスと生物多様性にもたらす効果を定量的かつ意思決定しやすい形で表現するのに有効と考えられる。本研究は、サービス供給ユニットの確保に必要な保全・再生の取り組みとそれによる生物多様性への影響を様々なシナリオの下で予測することで、保全・再生策の意思決定を支援する基盤モデルを、生態系サービスの評価が容易で保全上の価値も高いミズゴケ属の北海道黒松内町における再生計画をモデルケースとして構築することを目的とする。

研究の性格

  • 主たるもの:応用科学研究
  • 従たるもの:

全体計画

(1)既存の地理情報システム(GIS)データを用いて泥炭土壌の分布と地理的条件から黒松町内のミズゴケ湿地ポテンシャルマップを構築。それを参考に、より詳細な空間スケールに対応したミズゴケの成長モデルを既存の知見に基づき構築し、潜在的なミズゴケのバイオマス生産を地図化する。また、上記のモデルを検証・改善するために環境条件やバイオマス生産の野外調査を行う。
(2)ミズゴケ湿地及びその他の開放地ハビタットタイプ(農地、耕作放棄地を含む)の生態系サービスを既存のデータと上記のミズゴケのバイオマス生産モデルを用いて経済的に評価する。
(3)生物多様性のポテンシャル評価・地図化として、既存の生物分布データを収集するとともに、開放地の指標種となりえる(調査しやすく、環境変化に敏感で、生態学上重要な役割を果たしている)分類群について、独自に野外調査を行い、調査地点のハビタットタイプやそのパッチサイズ、空間配置、周辺環境などからそれらの分布又は密度を予測する統計モデルを作成する。それらを重ねあわせることで、生物多様性上重要な地点についてより頑健な評価を行う。
上記で得られたミ知見をもとに、入力された土地利用(ハビタットタイプ)、気候条件の下、ミズゴケ湿原をどこでどのくらい保全・再生すれば短期及び長期的に町の生物多様性及び生態系サービスをどの程度変化させることができるかを予測できる統合モデルを構築する。また、現実的な複数の「受益者の需要」シナリオ(e.g., 町全体の炭素吸収量を○%増加、及び土地所有者の固定資産税を賄う等)で、実際にミズゴケのサービス供給ユニットを計算し、その確保が生物多様性に与える影響についても予測・可視化をめざす。

今年度の研究概要

25年度に得られたデータを基にミズゴケのバイオマス生産モデルを改善する。さらに、必要に応じてバイオマス生産等の調査を継続的に行う。また、昨年度になされた生態系サービス及び生物多様性の評価の妥当性を確認するため、野外踏査・調査を継続的に行い、必要に応じて、モデル及び評価を改善する。

関連する研究課題
  • 0 : 生物・生態系環境研究分野における研究課題

課題代表者

吉岡 明良

  • 福島地域協働研究拠点
    環境影響評価研究室
  • 主任研究員
  • 博士(農学)
  • 農学
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