- 予算区分
- AQ センター調査研究
- 研究課題コード
- 1414AQ006
- 開始/終了年度
- 2014~2014年
- キーワード(日本語)
- 景観不均一性,耕作放棄
- キーワード(英語)
- landscape heterogeneity, land abandonment
研究概要
耕作地等の管理放棄が進行している我が国において、放棄された水田が湿地となる場合や乾燥草地になる場合等、管理放棄に伴う景観要素の変化の程度が景観不均一性と生態系の関係という景観レベルのプロセスにどのように影響するか予測できれば、生物多様性・生態系サービスの保全上効果的な国土計画に有用である。本研究は耕作放棄による景観要素の様々な変化が景観の不均一性と指標種群の分布の関係に与える影響について、日本全国及び一部のモデル地域において知見を得る。そのため、耕作放棄地を考慮した景観不均一性の地図化を行う。また、既存のデータと耕作放棄が大規模に生じている福島の被災地周辺のデータ等から解析できる範囲で、耕作放棄を考慮した景観不均一性と、生物多様性・生態系サービスの指標となる生物の分布の関係をモデル化する。
研究の性格
- 主たるもの:応用科学研究
- 従たるもの:技術開発・評価
全体計画
耕作放棄が顕著になる以前の植生図あるいは土地利用図と、顕著になった後の植生図・土地利用図・航空写真(※)及び農林業センサス等の情報を用いて、耕作放棄によって生じた景観要素を区別した土地利用図を作成、それによって景観の不均一性を地図化する。(※対象範囲、時期は後述の生物分布データに合わせる。)また、放棄されても物理環境特性を比較的維持している景観要素に重みづけを行って計算した「重みづけ不均一性」地図も作成する。例えば、水田から湿地になった部分が多い景観は、水田から乾燥草地になった部分が多い景観よりも「重みづけ不均一性」が高くなるようにする。また、里地里山の生物多様性・生態系サービスの指標となるような動植物種(イトトンボ、カメムシ類等を想定)の空間分布に関して、既存の広域データを入手する。
また、福島の被災地周辺のように大規模な耕作放棄が発生している地域や、詳細な耕作放棄あるいは休耕のデータを得ることが可能な一部の地域では、より詳細な空間範囲での解析を行うために新たに指標的な動植物種の分布データを取得することをめざす。
得られた景観の不均一性及び重みづけ不均一性と生物分布の関係を統計モデルによって検討することで、景観の不均一性の生物分布への効果の、耕作放棄によって生じる景観要素への依存性について知見を得ることが期待される。
今年度の研究概要
当該研究期間は一年間であり、計画は全体計画で述べた通りである。
備考
人が去ったそのあとに〜無人化集落における景観・生物相の長期動態に関する先駆的研究〜(所内公募型提案研究B 課題代表者:深澤圭太)
管理放棄と生物の分布の関係を検討するという観点で共通点があるが、耕作放棄地に注目する本研究と異なり、集落跡周辺の生物相に注目している。
- 関連する研究課題
- 0 : 生物・生態系環境研究分野における研究課題
課題代表者
吉岡 明良
- 福島地域協働研究拠点
環境影響評価研究室 - 主任研究員
- 博士(農学)
- 農学