- 予算区分
- CD 文科-科研費
- 研究課題コード
- 1416CD012
- 開始/終了年度
- 2014~2016年
- キーワード(日本語)
- 気候変動,生態系,長期変化,シミュレーション
- キーワード(英語)
- Climate change, Ecosystem, Long-term change, Simulation
研究概要
陸域生物圏モデル(VISIT)を改良して用いて、古気候シミュレーションデータおよび土地利用データを用いて、最終氷期(2万1千年前)から現在までの連続シミュレーションを実施する。そこでは生物圏の生産力、炭素・窒素貯留量、水収支など、生態系の機能とサービスに関係する項目に焦点を当て、特徴的な気候変動(例えば氷期の終焉、中世の温暖期)や人間活動(例えば農耕開始や産業革命)が生物圏に与えた影響、そしてそれが気候システムや人間社会にもたらしたフィードバックについて解析を行う。その結果を踏まえて、将来の地球環境変動条件下での生物圏予測を行う上での長期的メカニズムの寄与に関する議論を行う。
研究の性格
- 主たるもの:基礎科学研究
- 従たるもの:応用科学研究
全体計画
過去の気候・土地利用データに基づいて、長期的な地球環境変化に伴う陸域生態系のダイナミクスをシミュレートするモデルを開発する。それを用いて、最終氷期から現在までの植生分布、生産力、炭素ストック、水収支など生態系の構造と機能の変遷を全球スケールで再現し、陸域生態系の長期的な変動を支配する環境的・人為的要因を、地域的特性を踏まえつつ検討する。また、生態系が人間社会にもたらす公益的機能(生態系サービス)について、過去の環境変動に伴ってどのように変化してきたかを定量的に評価する。これらの結果を踏まえて、将来の温暖化・人口増加による地球環境の変化が生態系に与える影響とそれが引き起こすフィードバック効果(相互作用)、そして人間社会に及ぶ波及的影響について総合的に考察する。
今年度の研究概要
本課題の対象期間である最終氷期(2万1千年前)から現在(西暦2010年前後)について、モデルシミュレーションの入力・検証および解析に用いられるデータを収集する。これまで開発してきたグローバルスケールの陸域生物圏モデル(VISIT)は、植生と土壌の生理生態学的関係と生物地球科学的プロセスに基礎を置き、大気と生態系との間の温室効果ガスなど微量物質交換をシミュレートするモデルであり、植生の競争関係を考慮して変動環境下での植生分布変化をシミュレートできるようモデルの拡張を行う。