- 予算区分
- CD 文科-科研費
- 研究課題コード
- 1314CD005
- 開始/終了年度
- 2013~2014年
- キーワード(日本語)
- 炭素・窒素安定同位体比,排水処理システム,食物網,微生物生態系
- キーワード(英語)
- Carbon and nitrogen stable isotope ratios, wastewater treatment system, food web, microbial ecosystem
研究概要
生物学的排水処理リアクターは、微生物の捕食・被捕食作用等を巧みに利用した技術であり、細菌、原生動物、後生動物など、餌や栄養段階が異なる微生物群によって形成された食物網において、排水の浄化や余剰汚泥の分解が進行している。しかし、微生物群集における食物網(微生物生態系)を理解する上で重要な摂餌関係(捕食—被捕食の関係)に関する知見は限られている。そこで本研究では、自然環境における食物網の解析に適用されてきた炭素・窒素安定同位体比の指標に基づき、生物学的排水処理リアクターにおける浄化機構や食物網の解析を進め、処理性能の安定化・効率化のための基礎的知見を得ることを目的とする。
研究の性格
- 主たるもの:基礎科学研究
- 従たるもの:技術開発・評価
全体計画
本研究では、代表的な生物学的排水処理システムである活性汚泥法、散水ろ床法、嫌気性処理法における、流入下水、処理水、保持汚泥、余剰汚泥、後生動物に対して、炭素・窒素安定同位体の測定を行う。同時に、各処理システムにおける処理性能や汚泥特性などの基礎的データを取得する。この結果から、汚泥における微生物生態系の上位に属する後生動物の摂餌関係や栄養段階などの解明を進める。また、各システムにおける安定同位体比の変動から、物質フロー、浄化機構、微生物生態系の解析を試みる。これにより、各処理システムの汚泥における食物網と浄化機構の比較評価を行なう。さらに、排水処理システムへの安定同位体比解析の適用を通じて、実験方法、データ解析、評価方法などの最適化・洗練化を行う。
今年度の研究概要
今年度は、前年度の研究成果を踏まえて、活性汚泥法のラボスケールリアクターを用いて、汚泥の安定同位体比に及ぼす主要なファクターに関する基礎的知見を得る。具体的には、流入排水の組成変化、汚泥滞留時間、微生物相(後生動物の優占度)などが活性汚泥の安定同位体比に及ぼす影響を把握する。また、散水ろ床型のラボスケールリアクターを用いて、硝化に伴う同位体分別に関して評価を進める。これらの実験により、生物学的排水処理リアクターにおける同位体効果の解明を進める。
- 関連する研究課題
- 0 : 地域環境研究分野における研究課題
課題代表者
小野寺 崇
- 地域環境保全領域
環境管理技術研究室 - 主任研究員
- 博士(工学)
- 土木工学