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微細藻類が生産する有毒物質ミクロシスチンのモニタリングに関する研究(平成 26年度)
Research for monitoring of toxic compounds produced by microalgae

予算区分
AH 地環研
研究課題コード
1213AH001
開始/終了年度
2012~2014年
キーワード(日本語)
ミクロシスチン,精度管理,モニタリング,高精度分析
キーワード(英語)
microcystin, accuracy control, monitoring, accurate analysis

研究概要

湖沼の富栄養化により発生するアオコの中には有毒物質を生産するものがあり、肝臓毒であるミクロシスチンや麻痺性貝毒と同じ作用の神経毒の検出頻度が高い。ミクロシスチンは、家畜等の斃死の他にブラジルで100人以上の死亡事故が起きるなどしたため、WHOから1μg/Lという暫定的基準値が勧告されている。また、ミクロシスチンは植物の生育を阻害するという報告もあり、農業用水としても有毒アオコの発生は問題となる。
 我が国でもミクロシスチンは水質要調査項目に指定されているが、体系的なモニタリングは行われておらず、ミクロシスチンを含む有毒アオコの発生状況は把握されていない。我が国では飲料水および農業用水をダム等の湖沼に頼っている部分が大きく、これらの富栄養化による有毒アオコの発生は重大な問題であり、有毒アオコをモニタリングすることは、その被害を予防するために重要である。
 本研究では、前年度までに行った環境省公害一括計上地域密着型研究「藍藻類が生産するミクロシスチンのモニタリング手法とその評価に関する研究」の成果である15Nで標識したミクロシスチンを用いたミクロシスチンの個別高精度分析手法を用いてミクロシスチン分析の精度管理を行い、分析手法の標準化および有毒アオコの被害抑制に役立てることを目的としている。

研究の性格

  • 主たるもの:応用科学研究
  • 従たるもの:モニタリング・研究基盤整備

全体計画

本研究では、15Nで標識したミクロシスチンを用いたミクロシスチンの個別高精度分析手法を用いて、ミクロシスチン分析の精度管理を行い、分析手法の標準化およびモニタリング手法の検討を行う。

(24年度)
アオコが発生する湖沼を調査するとともに湖水試料を採集する。試料中のミクロシスチン量を分析するとともに、必要に応じて試料の一部を国環研に送付する(地環研)。
ミクロシスチン分析値のクロスチェックおよびその同族体組成の解析を行う(国環研)。
得られたデータについて考察を行い、ミクロシスチン分析手法の統一や精度管理手法について検討を行う。

(25年度)
前年度に調査した結果をもとに、アオコが発生した湖沼において定期的にアオコの発生状況を調査するとともに湖水試料を採集する。前年度に検討された統一手法を用いて試料中のミクロシスチン量を分析するとともに、必要に応じて試料の一部を国環研に送付する(地環研)。
ミクロシスチン分析値のクロスチェックおよびその同族体組成の解析を行う(国環研)。
得られたデータについて考察を行い、ミクロシスチン分析の精度管理について検討を行う。

(26年度)
前年度までに調査した結果をもとに、アオコが発生した湖沼において定期的にアオコの発生状況を調査するとともに湖水試料を採集する。前年度に検討された手法を用いて試料中のミクロシスチン量を分析するとともに、必要に応じて試料の一部を国環研に送付する(地環研)。
 ミクロシスチン分析値のクロスチェックおよびその同族体組成の解析を行う(国環研)。
 得られたデータについて考察を行い、ミクロシスチン分析法の標準化について検討を行う。

今年度の研究概要

前年度に精度管理を行った分析手法および濃縮操作を省いた簡便な分析手法を用いて、アオコが発生した湖沼において定期的にアオコの発生状況を調査するとともに湖水試料を採集する。必要に応じて試料の一部を国環研に送付する(地環研)。
 ミクロシスチン分析値のクロスチェックおよびその同族体組成の解析を行う(国環研)。
得られたデータについて考察を行い、ミクロシスチン分析手法の標準化について検討を行う。

外部との連携

共同研究機関:福岡県保健環境研究所(代表機関)、宮城県保健環境センター、奈良県景観環境総合センター、千葉県環境研究センター

課題代表者

佐野 友春