- 予算区分
- BA 環境-推進費(委託費) 5-1452
- 研究課題コード
- 1416BA002
- 開始/終了年度
- 2014~2016年
- キーワード(日本語)
- 粒子状物質,心筋梗塞,救急搬送
- キーワード(英語)
- particulate matter, acute coronary events, emergency transport
研究概要
2009年に微小粒子状物質(PM2.5)に係る環境基準が設定され、今後取り組むべき調査研究として、化学組成に着目した疫学研究、循環器疾患患者や循環器疾患に対するリスクの高い者(高感受性集団)を対象とした疫学研究が挙げられた。環境基準はPM2.5の質量濃度を基準としているが、健康被害をもたらすのはPM2.5に含まれる化学物質である。しかし、粒子状物質に含まれる化学物質の健康影響研究は国内外ともに少ないため、日本国内において化学組成と健康影響の関係を調査し、知見を蓄積する必要がある。近年、春季に九州地区で粒子状物質の質量濃度が高くなり、健康への影響が懸念されている。「PM2.5に関する専門家会合」では注意喚起のための暫定的な指針となる値を1日平均値70μg/m3と定めたが、高感受性集団においては低濃度でも健康影響が生じる可能性は否定できず、さらなる知見の蓄積が必要である。また、黄砂の健康影響に対する関心も高く、呼吸器疾患やアレルギー疾患を対象とした疫学知見はこれまでにも蓄積されているが、循環器疾患を対象とした疫学知見はほとんどないため、知見の蓄積が必要である。以上の理由により、粒子状物質の化学組成の観測と、循環器疾患発症や救急搬送のデータを結合し、PM2.5および黄砂が循環器・呼吸器疾患に及ぼす短期曝露影響に関する研究が必要である。
本研究では熊本や福岡で粒子状物質の質量濃度および化学組成観測を行い、観測データと救急搬送や心筋梗塞発症データを結合し、粒子状物質が循環器および呼吸器などの急性疾患に及ぼす影響を調査する。さらに、心筋梗塞の疾患登録にある患者属性情報を組み合わせることにより、高感受性集団に対する影響を解明し、高濃度時における注意喚起のための基礎的な知見を提供する。
研究の性格
- 主たるもの:行政支援調査・研究
- 従たるもの:応用科学研究
全体計画
福岡、熊本での粒子状物質の質量濃度および化学組成分析を可能な限り連続して行い、疫学の解析に必要な観測データを収集する。 粒子状物質の質量濃度および化学組成データと、疫学調査データを用いて、循環器・呼吸器等急性疾患に及ぼす粒子状物質の影響を明らかにする。
今年度の研究概要
福岡での粒子状物質(PM)観測を継続し、疫学の解析に必要な観測データを収集する。熊本にPM観測装置を設置し、試験的な分析を開始する。福岡での疫学調査をまとめるとともに、PM化学組成および黄砂の曝露指標を開発する。
外部との連携
京都大学、東京農工大学、工学院大学、熊本大学
- 関連する研究課題
- 0 : 地域環境研究分野における研究課題
- 24748 : 環境健康研究分野における研究課題
課題代表者
高見 昭憲
- 地域環境保全領域
- 領域長
- 博士(D.Phil)
- 化学,化学工学
担当者
-
新田 裕史
-
道川 武紘