- 予算区分
- BA 環境-推進費(委託費) S-10-2
- 研究課題コード
- 1216BA002
- 開始/終了年度
- 2012~2016年
- キーワード(日本語)
- 持続可能性,土地利用,シナリオ,ダウンスケール
- キーワード(英語)
- SUSTAINABILITY, LAND USE, SCENARIOS, DOWNSCALE
研究概要
現在、IPCCで利用されているRCPシナリオでは、成り行きシナリオで生じる強度の気候変動から受ける水資源への影響が考慮されていないため、シナリオで示されている都市成長や農地拡大等の実現可能性についての検証が必要である。一方、低炭素シナリオで想定されている、地球規模のバイオマスエネルギー利用については、食料生産の持続可能性との関係などを検討する必要がある。
気候変動が食料・水・エネルギー利用可能性および生態系に対して与える影響を総合的に評価し、将来の土地・水・生態系の利用制約、温暖化対策と食料生産・水資源・生態系とのトレードオフ関係・コベネフィット関係を定量分析し、温暖化影響下での温暖化対策のクリティカルなプロセスやポイントを特定するため、1)陸域統合モデルの開発、2)都市成長モデルの開発、3)持続可能性指標を用いた適応的利用戦略の分析の3つの項目に関する研究開発に取組む。
研究の性格
- 主たるもの:応用科学研究
- 従たるもの:政策研究
全体計画
将来の気候変動は、土地利用、水資源、生態系などに大きな影響を与えるが、これらのシステム間の相互作用まで考慮した研究はまだ少ない。また、効果的な気候変動適応策の検討に必要となる森林の保全や水資源ダムなどの費用対効果に関する分析、気候変動緩和策から土地利用への影響の評価、土地•水•生態系の環境制約を考慮した土地利用シナリオの構築など、グローバルレベルでの陸域モデリング研究には、まだ多くの課題が残されている。そこで、本研究では、次世代の気候変動シナリオの構築にむけて、陸域統合モデルの開発、都市成長モデルの開発、持続可能性指標を用いた適応的利用戦略の分析の開発に取り組む。そのために以下の研究を実施する。
気候変動影響下における、土地・水・生態系間の相互作用を、不確実性を含めて定量的に評価するグローバルな陸域統合モデルを開発し、各種シナリオについてシミュレーション分析を行う。また、気候変動対策(緩和・適応)と持続可能性とのトレードオフ(シナジー)関係を、定量的かつ地理的に評価し、土地・水・生態系利用にかかわるクリティカルなリスク要因を分析し、気候変動影響下での適応的管理の視点から利用戦略について検討する。
今年度の研究概要
(1)陸域統合モデルにさらに土地利用モデルを結合させる。開発した陸域統合モデルを利用して気候変動リスク評価を行う。バイオ燃料作物および森林の利用によるバイオマスCCS評価を行う。人口ダウンスケーリング(DS)手法を高度化するとともに、GDPのDS手法を開発する。
(2)陸域生態系モデルを用いて、影響評価を継続するとともに気候工学などの対策評価への応用を進める。同時に、植林やバイオ燃料栽培転換などを適切に再現するようモデル構造の拡張・改良を図る。他サブテーマと共同で気候変動対策のコスト・ベネフィットに関する統合的分析を進める。
(3)得られた水資源シナリオに対し、涵養量を上回る地下水取水量や気候の年々変動・季節変動に対する水需給逼迫に関する指標を計算する。これらの指標を組み合わせることにより、「地球水資源利用の健全性指標」を開発する。
外部との連携
国際応用システム研究所 (IIASA) 、アジア工科大学 (AIT) 、持続可能性相互作用研究センター (CIRS)等
備考
「S-10:地球規模の気候変動リスク管理戦略の構築に関する総合的研究」の一部