- 予算区分
- BB 環境-地球一括
- 研究課題コード
- 1115BB001
- 開始/終了年度
- 2011~2015年
- キーワード(日本語)
- 温室効果ガス,民間航空機,炭素循環
- キーワード(英語)
- Greenhouse gases, Commercial aircraft, Global carbon cycle
研究概要
本研究では、世界で唯一の民間航空機による温室効果ガスの定期観測プロジェクト(CONTRAILプロジェクト)を発展的に継続して長期にデータを蓄積し、エルニーニョ・南方振動(ENSO)現象等の気候変化に応答する数年スケールの大規模なCO2変動の実態を解明することを目的とする。5年間のデータ蓄積を行うことによって先行観測と合わせた10年規模のCO2データを構築し、2年〜3年周期のENSOサイクルに伴うCO2濃度の変動を把握する。また、より精度の高い温室効果ガス監視情報を社会に発信していくことも目的とする。
研究の性格
- 主たるもの:モニタリング・研究基盤整備
- 従たるもの:応用科学研究
全体計画
本研究では2つの手法による観測を行う。1つはCO2濃度連続測定装置(Continuous CO2 Measuring Equipment:CME)によって航空機の飛行中に連続してCO2濃度を測定するものであり、もう1つはフラスコサンプリング装置(Automatic Air Sampling Equipment:ASE)によって航空機の飛行中に大気試料を採取し、地上の実験室においてCO2を始めとする温室効果ガスの濃度やCO2の安定同位体比の観測を行うものである。
民間航空機で観測された航路上における温室効果ガスの3次元データは大気輸送モデルを使った解析を行うことによってグリッドデータ化する。インバースモデルを用いて航空機観測データと、地上観測データを主としたGlobalviewデータとからCO2フラックスの分布を算出する。計算されたCO2フラックスを大気輸送モデルに導入して、CO2の3次元グリッドデータを構築する。
観測で得られるデータとモデルで作られる3次元グリッドデータはいずれもデータベース化して、地球規模のCO2動態とその年々変動を解明する。また、数年スケールで起こるエルニーニョ現象などの気候変化との関連性を明らかにするため、気象庁の再解析気象データを用いて濃度変動との比較解析を実施する。さらに、データベースは外部の研究者に公開し、衛星観測の検証や輸送モデルの高度化等の関連分野の研究に幅広く利用提供して、積極的に協同研究を推進する。
今年度の研究概要
民間航空機を利用してアジア太平洋域を中心とした地域における温室効果ガスの観測を行う。複数機の航空機にCMEを搭載してCO2濃度の連続観測を行うとともに、月に2回の頻度でASEを利用して空気試料のサンプリングを行う。
外部との連携
共同研究機関:気象庁気象研究所