- 予算区分
- CE 文科-振興費
- 研究課題コード
- 1014CE001
- 開始/終了年度
- 2010~2014年
- キーワード(日本語)
- 大気汚染,温暖化,関東平野,適応策,自治体
- キーワード(英語)
- Air Pollution, Global Warming, Kanto, Adaptation, Local Government
研究概要
次世代の全球大気モデルである、正20面体格子非静力学モデル(NICAM)を利用して、二酸化炭素と大気汚染物質の両方を同化し、発生源を推定(逆問題)するシステムを構築する。このユニークなシステムを関東平野領域に適用して、温暖化・全球大気汚染・都市化の複合影響によって変化するメガシティー環境に社会が適応するための施策案を、国や自治体と協力して作成する
研究の性格
- 主たるもの:応用科学研究
- 従たるもの:行政支援調査・研究
全体計画
次世代の全球大気モデルである正20面体格子非静力学モデル(NICAM)を利用して、気候変化の適応施策の作成に役立つ、二酸化炭素と大気汚染物質の同化と発生源推定(逆問題)を行う同化システムを開発する。このシステムを関東平野領域に適用して、温暖化・全球大気汚染・都市化の複合影響によって変化するメガシティー域(関東平野全域:東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県、茨城県、群馬県、栃木県)の大気環境データの同化を行う。同化システムの試作版の段階から、社会が気候変化に適応するための施策案作成を自治体と協力して進めることを通じて、試作版の問題点や改良点を明らかにし同化システムの高度化を図るとともに、自治体が実際に施策案を作成するための同化システム利用手法を開発する。なお、気候変化の影響評価にはインパクトファクター(大気環境場と被害の間の因果関係を規定する要因)の計算が必要となることから、これには多くの過去研究の成果を応用する。本研究活動に自治体の意見や計算要求を反映するために、適応施策と環境監視に関わる自治体関係者と本研究チームで構成する検討会(自治体フォーラムと呼ぶ)を形成する。
影響評価と適応策の構築班(第3班)では、第1班と第2班のモデル結果を利用し、地方自治体の担当部署と連携して、温暖化や大気汚染の深刻化に伴う影響評価と、それに対する適応策につなげる実施モデルを構築する。観測から求められる関東地域の気温分布、大気汚染物質の濃度分布を用いて疫学調査を行い、因果関係を把握して、健康影響を定量的に示すための研究開発を実施する。その上で、データ同化技術を用いて作成される関東地域の気温分布、大気汚染物質の濃度分布と健康影響の結果を用いて、関東域における健康被害予測図を作成する。同様に、関東地域での気温分布と土地利用情報との因果関係を把握し、定量的に表す。その結果を自治体関係者に対して、気温や大気汚染物質に関する対策(適応策)の検討に役立つ情報として提供する。この取組においては、東京都、埼玉県などとの連携体制を確立するため、自治体の機関に所属する研究者も参加する定期的協議会を実施し、この協議会での検討を通じて、各自治体が必要としているニーズ・情報を収集しモデル開発に反映させる。
今年度の研究概要
本研究課題で開発された同化システムを用いて、関東地域における高分解能の気温の分布、大気汚染物質の濃度分布データを利用し影響評価や適応策の基盤となる技術を開発する。平成25年度は、次の3つのサブ課題を実施する。健康影響については第1、2班や自治体と協力して気温、湿度、および、粒子状物質の濃度分布をもとに健康リスクがどの程度変化(増加)するかを評価する。都市緑化に関しては、森林や水田などの土地利用に関するデータを収集し、各種法制度との整合性を考慮しつつ、土地利用の変更に伴う気温分布や大気汚染物質の濃度分布の変化を考察する。自治体の意向を知るため、自治体職員を対象に研究課題に対するニーズの調査を行う。
外部との連携
研究代表者:中島映至(東京大学大気海洋研究所 教授)、共同研究機関:東京大、筑波大、千葉大、埼玉県環境センター
- 関連する研究課題
- 23004 : 観測とモデルの統合によるマルチスケール大気汚染の解明と評価
- 0 : 地域環境研究分野における研究課題
課題代表者
高見 昭憲
- 地域環境保全領域
- 領域長
- 博士(D.Phil)
- 化学,化学工学
担当者
-
上田 佳代
-
Ng Chris Fook Sheng