- 予算区分
- CD 文科-科研費
- 研究課題コード
- 1315CD002
- 開始/終了年度
- 2013~2015年
- キーワード(日本語)
- 学習行動
- キーワード(英語)
- Learning behavior
研究概要
脳発達期における環境汚染物質の曝露は、子供や次世代の健康において、主な危険因子となる可能性がある。幼少期曝露後の学習能力や、脳内のさまざまな領域における神経科学的変化のメカニズムは、未だ解明されていない。本研究では、環境汚染物質としてsecondary organic aerosol (SOA)を用い、SOAの発達期曝露による神経毒性の影響を明らかにする。平成25年度には、新生児に学習行動を調べられるOlfactory-based spatial learning モデルを確立する。平成26年度には、発達期神経毒性を調べるために、25年度研究で確立したOlfactory-based spatial learning testを用いて、SOAの発達期曝露による新生児での学習能力や嗅球や海馬における神経免疫バイオマーカーの遺伝子発現をReal-time RT-PCR 法で測定する。平成27年度には、SOAの神経免疫毒性のメカニズムを明らかにするために、T cell deficient Nude mice を用いて、神経免疫相互作用を調べる予定である。
研究の性格
- 主たるもの:基礎科学研究
- 従たるもの:
全体計画
最近、免疫・アレルギー系、内分泌代謝系、および中枢神経系の撹乱による健康不良が増加し、その原因の一つとして大気中の環境汚染物質が考えられている。大気中の化学物質と感受性の問題を、特に中枢神経−免疫系への影響について報告されているが、未だ不明な部分も少なくない。脳発達期における環境汚染物質の曝露は、子供や次世代の健康において、主な危険因子となる可能性がある。幼少期曝露後の、学習能力及び、脳内のさまざまな領域における神経科学的変化のメカニズムは、まだ解明されていない。次世代におけるそのような化学物質による高次生命機能の撹乱などの健康被害を防ぐために早期検診は必要である。大人に対する学習とメモリ機能のテストはよく開発されているが、新生児の学習とメモリ機能に関するテストはまだ少ない。子どもおよび次世代を守るために、早期検診を得るために新しい学習能力テストを開発する必要がある。本研究では、環境汚染物質としてディーゼル排気由来二次生成有機エアロゾル[secondary organic aerosol (SOA)]を用い、SOAの発達期曝露による神経毒性の影響の解明を目的として学習障害の早期検出のため新生児動物モデルを確立する。
今年度の研究概要
平成25年度には、新生児に学習行動を調べられるOlfactory-based spatial learning新生児モデルを確立する。ポジティブコントロールとして、ナノ粒子を多く含んだディーゼル排気(NRDE)をBALB/c妊娠マウスに妊娠期間中15〜19日目(5h/日、5 日間)に点鼻投与する。出生後10日目にcomputer-assisted video tracking system を用いて、Training phase, Test phase. Reversal phase での学習行動を観察する。Training phaseでは4つのトライアルが含んでいる。トライアル間間隔は1分です。仔マウスのゴール(兄弟がいない)までかかる時間及び移動パスをビデオカメラによって記録する。Test phaseも4つのトライアルが含んでいる。仔マウスのゴール(兄弟がいる)までかかる時間及び移動パスを記録する。Reversal phaseではゴールを反対側において、ゴール(兄弟がいる)までかかる時間及び移動パスを記録する。そして、最終テスト24時間後に解剖を行い、嗅球や海馬における神経免疫バイオマーカー(NMDA受容体サブユニット, 転写因子CaMKIV, CREB1, CREB2, 神経栄養因子NGF, BDNF, 炎症性サイトカインIL-1 beta, TNF-alpha, CCL3)の遺伝子発現をReal-time RT-PCR 法、病理組織学的法を用いて検討する。
- 関連する研究課題
課題代表者
TIN-TIN-WIN-SHWE
- 環境リスク・健康領域
- シニア研究員
- M.D., Ph.D (Medical Science)
- 医学,生理学,生化学