- 予算区分
- CD 文科-科研費
- 研究課題コード
- 1214CD015
- 開始/終了年度
- 2012~2014年
- キーワード(日本語)
- バイオ重油,低硫黄重油,融液晶析,相溶性,バイオアッセイ,エンジン排ガス,トラップグリース,エンジン発電
- キーワード(英語)
- Bio-fuel oil, Low-sulphur fuel oil, Melt crystallization, Miscibility, Bioassey, Engine exhaust gas, Trap grease, Engine power generation
研究概要
厨房排水から排出されるトラップグリースを常温液体の低硫黄バイオ重油として利用することを目標に、低品位廃熱を用いてグリースから油脂分を油相として相分離させ、さらに、室温までの温度差を利用した融液晶析を用いて油相中の常温固体成分を除去する技術を確立することを目的とする。また、バイオ重油に対して、化学物質の有害性の順位・特徴付けが可能なバイオアッセイ・バッテリーを用いて安全性を評価するとともに、重油や重油代替燃料と混合した場合の相溶性を確保して混合利用できる条件を提示する。さらに、バイオ重油をエンジンで燃焼させ、排ガスの性状を明らかにし、環境負荷低減の観点から最適な利用方法を提案する。
研究の性格
- 主たるもの:技術開発・評価
- 従たるもの:応用科学研究
全体計画
融液晶析実験装置を用いて、常温固体成分の析出量や固体の純度に対する室温、冷却速度、さらには固体が析出する冷却管の回転数の影響を調べ、バイオ重油の製造を行う。バイオ重油と重油および重油代替燃料との相溶性(相分離性)を測定し、A重油のJIS規格項目の達成度を評価することによって、バイオ重油の組成と季節に適した混合可能量を提示する。また、複数のハザード指標を検出可能なバイオアッセイ・バッテリーを用いて、季節ごとに得られたトラップグリースの油分について有害性の評価を行うとともに、エンジン燃焼時の排ガスについても同様な評価を行う。さらに、安全性の観点からバイオ重油の利点・課題を考察する。バイオ重油や重油および重油代替燃料を混合したものを燃料として負荷変動と排ガス中の大気汚染物質濃度を評価できる実験系を構築し、燃料混合比およびエンジン負荷と大気汚染物質の低減化ならびに有害性について整理し、バイオ重油の最適な利用方法を提案する。
今年度の研究概要
菜種油と脂肪酸からなるトラップグリースのモデルを構築し、融液晶析操作を行い、温度差や冷却速度等の操作変数が回収率に与える影響を明らかにする。また、回収率を予測するための関係式や油分の残存成分を予測するモデルの構築を試みる。重油との混合利用法を検討するために、相平衡測定装置(光散乱法)を作成し、モデル系を中心に重油との相溶性を測定・評価する。加えて、UNIFACモデルを用いて、相平衡計算から相溶性を推算し、その有用性を評価する。バイオ重油の安全性評価を行うため、重油および油状グリース由来のバイオ重油をPAHs等を包括的に検出するバイオアッセイに適用する。グリースの排出源や季節ごとにリスクベースで包括的に評価・整理する。発電用の小型ディーゼルエンジンを用いて、モデル系バイオ重油と一般的な重油の混合燃料による燃焼実験を行い、燃焼効率や排ガス中のSOxとNOx等の大気汚染物質濃度を評価する。
外部との連携
兵庫県立大学大学院 福井啓介教授,前田光治教授
工学院大学 小林潤准教授
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