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酸化ストレスによるDNA脱メチル化酵素の発現誘導メカニズムの解明(平成 24年度)
The involvement of oxidative stress in the expression of active DNA demethylation enzymes.

予算区分
CD 文科-科研費
研究課題コード
1213CD004
開始/終了年度
2012~2013年
キーワード(日本語)
DNAメチル化,DNA脱メチル化,酸化ストレス
キーワード(英語)
DNA methylation, DNA demethylation, oxidative stress

研究概要

近年、DNAのメチル化異常を含めたエピジェネテッィクな因子による遺伝子発現の変化が、様々な疾患と関連することが報告されている。しかし、DNA メチル化異常誘発のメカニズムについては未だ不明な点が多く、特にDNA の脱メチル化機構については十分に理解されていない。そこで、本研究では、近年脱メチル化への関与が報告されているTet (Ten-eleven translocation)ファミリーが酸化ストレスに対しどの様な発現変動を示し、その発現変動が実際にDNA のメチル化変化に影響するか否か明らかにすることを目的とする。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:応用科学研究

全体計画

本研究では、シトシンの脱メチル化に関与するTet ファミリーの中から多くの組織で発現が確認されているTet2 及びTet3 に着目し研究を行う。具体的には、酸化ストレスを誘発する化学物質をマウス肝臓由来細胞であるHepa1c1c7 細胞に曝露することにより、Tet の発現解析を行い、その発現メカニズムについてNrf2-ARE シグナル経路を中心に詳細に解析を行う。
次に、発現誘導されたTet が実際に細胞のDNA のメチル化状態に変化を及ぼすか、ゲノムDNA中の5-meC 量をLC-ESI/MS により精密に測定することにより検討する。また、多くの組織で発現が確認されているTet2 やTet3 がどの様な標的遺伝子のメチル化に関与するか明らかにし、組織におけるTet の機能を明らかにすることを目的とする。

今年度の研究概要

今年度はTetファミリーの中で組織においても発現が確認されているTet2及びTet3を中心に解析を行う。実験には、マウス肝臓由来細胞であるHepa1c1c7細胞を使用する予定であるが、実験状況に応じて他の培養細胞についても検討する。
1)Tetの発現解析:酸化ストレスを誘発する化学物質であるH2O2、tert-butylhydroperoxide(t-BHP)、パラコート及びNrf2-AREシグナル経路を活性化させるtert-butylhydroquinone(t-BHQ)等を細胞に曝露し、経時的なTet2, Tet3の発現解析をリアルタイムPCR及びウエスタンブロットにより行う。
2)Nrf2-AREシグナル経路の解析:Tet2, 3遺伝子の上流にARE配列が確認されたことから、Nrf2-AREシグナル経路の関与について解析を行う。まず、1)の結果効率よくTetの発現を誘導することが明らかになった化学物質について、siRNAによるNrf2のノックダウンを行うことにより、Tetの発現誘導が抑制されるか否か解析を行う。また、Tetの発現誘導が見られた化学物質については、Nrf2の核移行が見られるかウエスタンブロットによる確認を行い、クロマチン免疫沈降法によりTet2, Tet3の転写開始点上流にあるARE配列にNrf2が結合しているか、確認する。さらに、TetプロモーターにあるARE配列が遺伝子発現に実際に関与するか、TetのARE配列を組み込んだルシフェラーゼレポーターベクターを構築し、レポータアッセイによりその発現活性を確認する。

課題代表者

内匠 正太