- 予算区分
- AF 奨励
- 研究課題コード
- 1015AF002
- 開始/終了年度
- 2010~2015年
- キーワード(日本語)
- 地球温暖化,熱帯林,炭素循環,土壌呼吸,土地利用変化
- キーワード(英語)
- Global warming, tropical forest, carbon cycle, soil respiration, LULUC
研究概要
人の手が入っていない熱帯林は、毎年、人為起源全球炭素排出量のおよそ15%(1.3Gt)相当量を隔離する天然の炭素回収貯留機能を提供する。しかしながら、熱帯林の炭素貯留機能は既に気候変動により弱体化させられ、逆に炭素の排出源となることさえあるかもしれないことを、幾つかの気候モデルが示唆している。
そこで、土壌呼吸を中心とした炭素循環を長期モニタリングすることで、気候変動や土地利用変化に伴う熱帯林の劣化メカニズムを解明することを目標とする。具体的には、マレーシア森林研究所所有のパソ熱帯林をモデルとして、物質循環に最も重要なプロセスの土壌呼吸を長期的に観測する。落葉量をモニタリングし、地上部生産及び土壌有機炭素供給量の指標にし、生態系の純生産ポテンシャルの年変動を推定する。また周辺の二次林やオイルパーム、ゴム園などで土地利用変化による物質生産や循環の変化も長期的に観測する。
研究の性格
- 主たるもの:モニタリング・研究基盤整備
- 従たるもの:基礎科学研究
全体計画
本研究では、過去にNIESの研究者が中心となり地球推進費などで整備してきたパソの既存のプラットフォーム(現在FRIMが施設を管理運用)と測定装置(図1とポンチ絵)を活用し、代表的な熱帯林における観測によって土壌呼吸の長期変動に関するオリジナルデータを取得・解析した上、気候変動が土壌有機炭素放出へ与える影響を検出する。また、天然林や二次林、オイルパーム、ゴムプランテーションなどの土地利用形態における土壌呼吸を測定し、土地利用変化に伴う熱帯生態系の土壌劣化を評価する。さらに、大型プロット(50ha)において地上部生産及び土壌有機炭素供給ポテンシャルの指標としての落葉量(リターフォール)の長期モニタリングを実施した上で、定点観測結果を広域的に解明する。
今年度の研究概要
確立された手法を用いて、パソの熱帯林及び土地利用形態における土壌呼吸などの定常観測を実施する。IBP(国際生物事業計画)を初め、過去の環境省地球環境研究総合推進費課題プロジェクトの観測データをアーカイブし、熱帯林炭素循環に関するデータベースの構築を開始する。
外部との連携
マレーシア森林研究所(FRIM)
備考
当課題は研究プログラム1.(1)および基盤整備分野4.(1)にも関連
- 関連する研究課題
課題代表者
梁 乃申
- 地球システム領域
- シニア研究員
- 学術博士
- 林学
担当者
-
向井 人史
-
安立 美奈子
-
Tan Zhenghong
-
寺本 宗正