ユーザー別ナビ |
  • 一般の方
  • 研究関係者の方
  • 環境問題に関心のある方

津波による海浜植生への生態影響と回復性評価 - 東日本大津波を事例として(平成 24年度)
Ecological impacts of beach vegetation caused by the 2011 Tohoku-oki tsunami in
northern Tohoku, Japan

予算区分
AR 震災対応
研究課題コード
1213AR001
開始/終了年度
2012~2013年
キーワード(日本語)
津波,海浜植生,生態影響,埋土種子,植生調査,生態遷移
キーワード(英語)
Tsunami, Coastal vegetation, Ecological impact, Buried seeds, Vegetation survey, Ecological succession

研究概要

2011年3月11日に発生した東日本大震災に伴う津波により、太平洋沿岸域一帯が壊滅的な被害を受けた。しかし、津波は発生頻度の低い現象であるため、津波による沿岸生態系への生態影響に関する評価事例・知見は乏しく、そのことが、自然環境の再生・復興に向けたマスタープラン等を策定するにあたり、自然環境や生態系機能を考慮に入れることを難しくしている。そこで、本研究では、植生を指標として、東日本大震災津波による海浜生態系への生態影響及び回復・遷移メカニズムの解明に向けた生態学的基盤データを蓄積することを目的とする。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:モニタリング・研究基盤整備

全体計画

岩手県において、被害状況や海岸の特性が異なる複数の海岸を対象に、津波前後の同一地点における植物の種組成・構造の変化についてモニタリングを実施する。現地調査項目は、植生調査、地形測量、漂着堆積物調査等を予定している。得られた現地のデータ及び空間情報データを統合して、豊かな植生が確認された地点や、今後植生が回復してくる可能性の高い地点など、沿岸生態系にとって重要な畜または生態系の創生を行っていくことが望ましい地区など、生態系機能・生物多様性を考慮に入れた今後の復興計画策定時や再開発時に利用可能な生態系保全地図の作成を目指す。

今年度の研究概要

今年度の研究は以下の2項目について実施する予定である。
1)津波に対する海浜植生の感受性差の検討
津波に対する海浜植物の感受性の違いを明らかにすることを目的とする。津波前に調査した地点と同一地点において植生調査を実施し、津波前後で確認された各種の出現回数を比較し、津波に対する植物の感受性の違いを明らかにする。その際、各種の生活史特性にも着目し、植物の撹乱指標性(津波の影響を受けやすい、または受けにくい生態的特性)の整理を行う。なお、海浜植生の回復状況及び生態遷移メカニズムの解明に向けた植生モニタリングは継続する。
2)埋土種子集団に基づく津波後の海浜植生の回復ポテンシャルの推定
津波後の植生の回復ポテンシャルを、埋土種子集団から予測することを目的とする。各調査地点において、津波撹乱の程度の異なる複数の立地を選定し、堆積物中に含まれる種子と栄養繁殖体の有無等を明らかにするとともに、地上部の海浜植物種組成との比較を行い、今後の海浜植生の回復ポテンシャルや遷移パターンを推定・検討する。

外部との連携

岩手県立大学、鹿児島大学

関連する研究課題
  • 0 : 生物・生態系環境研究分野における研究課題

課題代表者

早坂 大亮